研究課題/領域番号 |
19K11084
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
水田 明子 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (50515830)
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研究分担者 |
尾島 俊之 浜松医科大学, 医学部, 教授 (50275674)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 小学生 / 保護者 / 主観的健康感 / 経済状況 / 非常事態宣言 / 個人特性 |
研究実績の概要 |
令和3年度は、東京神奈川千葉埼玉に非常事態宣言の出されていた2021/3/10-2021/3/12の3日間実施したオンラインでの全国調査のデータ2000人の分析を行い、2022年1月26日-28日に行われた第32回日本疫学会学術総会(zoom開催)で発表を行った。非常事態宣言下における小学生の保護者の主観的健康感に関連する要因について報告した。研究目的は、非常事態宣言下における小学生の保護者の主観的健康感と個人の「一人を好む」特性との関連を明らかにすることとした。調査では、健康状態と、その関連要因と考えられる性別、年代、婚姻状況、家族構成、経済状況、個人の特性として「元来一人でいるのが好きだ:以下、一人を好む」(回答肢は、ちがう、そうだ、とてもだ)、「外出よりも家にいる事の方が好き:以下、在宅を好む」(回答肢は、はいといいえ)について把握した。主観的健康感を目的変数、「一人を好む」を説明変数、性別、年代、経済状況、婚姻状況、家族構成、「在宅を好む」を交絡因子として調整したロジスティック回帰分析を行った。結果として、「一人を好む」にそうだと答えた者はそうでない者と比較して有意に健康状態が良くない者が多かった(オッズ比=1.99, 95%信頼区間 1.30-3.03)。家族構成と経済状況に有意な関連が残り、家族構成は、核家族と比較して3世帯以上(オッズ比=1.84, 95%信頼区間 1.07-3.18)、経済状況は、ゆとりがあると比較してややゆとりがある(オッズ比=4.71, 95%信頼区間 1.94-11.46)で健康状態が良くない者が多かった。結論として、非常事態宣言下において、小学生の保護者では、元来一人でいるのが好きな者に主観的健康感が良くない者が多かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査データを活用し、非常事態宣言下の小学生の保護者の主観的健康感に関連する要因について明らかにすることができ、学会発表として報告することができた。保護者の主観的健康感と子どもとの信頼関係、子どもの睡眠時間やゲームをする時間との関連についても分析を進めた。コロナ禍が長期化し、在宅勤務や外出自粛要請、営業時間の短縮要請などが繰り返され、保護者の健康感がどのように変化したか、保護者の健康感と子どもの日常生活との関連の変化を把握する必要性を考え、2回目の追跡調査について検討した。縦断的に把握する調査項目と調査対象数、調査時期の検討を行い、令和4年4月に追跡調査を実施した。
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今後の研究の推進方策 |
非常事態宣言下の小学生の保護者の主観的健康感に関連する要因について明らかにすることができ、学会誌への投稿を進める。保護者の主観的健康感と子どもとの信頼関係、子どもの睡眠時間やゲームをする時間との関連についても分析した結果を学会での報告、学会誌への投稿を進める。令和4年4月に追跡調査を実施したデータを分析し、約1年に渡り非常事態宣言やまん延防止等終点措置が要請されていた状況下において、保護者の主観的健康感や養育態度、子どもの日常生活(睡眠やゲームの時間)、保護者との対話や信頼関係の変化を明らかにする。その上で、保護者の健康感や養育態度と、子どもの日常生活との関連について、縦断的調査のデータを用いて因果関係を明らかにするための分析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍が長期化し、保護者の養育態度や主観的健康感、子どもの日常生活に影響が出ることが予測され、子どもの日常生活に関連する保護者の要因を縦断研究により明らかにする必要性があると考えた。学会がWeb開催となり旅費の使用がなく、3年間の研究計画では横断研究としていたが、1年延期をして縦断研究とすることとした。令和4年4月に約1年後の追跡調査を実施した。子どもの日常生活に関連する保護者の要因について、因果関係を明らかにしていく。
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