研究課題/領域番号 |
19K11087
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研究機関 | 清泉女学院大学 |
研究代表者 |
北村 千章 清泉女学院大学, 看護学部, 准教授 (20643795)
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研究分担者 |
石黒 浩毅 山梨大学, 大学院総合研究部, 講師 (20375489)
桐生 徹 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (20713259)
稲葉 雄二 信州大学, 医学部, 特任教授 (30334890)
エルダトン サイモン 新潟県立看護大学, 看護学部, 准教授 (30512066)
榎本 淳子 東洋大学, 文学部, 教授 (50408952)
室 亜衣 清泉女学院大学, 看護学部, 助手 (50816957)
早川 統子 愛知学院大学, 心身科学部, 准教授 (90609710)
中込 さと子 信州大学, 学術研究院保健学系, 教授 (10254484)
倉石 佳織 西武文理大学, 看護学部, 助教 (50865409)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 22q11.2欠失症候群 / 就学 / ガイド / 心のケア / 早期支援 |
研究実績の概要 |
作成中の22q11.2欠失症候群の子どもの就学ガイドが、家族と教育者の評価を得て完成した。全国どこからでもガイドが活用できるように、研究代表者が理事を務める、NPO法人親子の未来を支える会に相談窓口をつくり、ガイドを配布し、使用後の評価を得ることができた。継続して使用してもらい、就学中の同疾患の子どもに接する教育現場の意見を反映しながら実用性を高めることができた。 22q11.2欠失症候群の子どもの親を対象に調査した研究、「22q11.2An examination of nursing support based on the care needs of children with 22q11.2DS after definitive diagnosis」英語論文(原著)が、日本遺伝看護学会誌に掲載された。このニーズ調査は、22q11.2欠失症候群がある子どもを育てる親の、確定診断以降の医療支援に対する認識を明らかにすることを通して、早期診断後のケアニーズに基づく看護を検討することを目的とした。本研究の対象者の平均診断時期は1歳7か月(19±60か月)であり、早期診断を肯定的に捉え、先手を取って子の成長を高めたいという希望を持っていた。しかし、就学前から情報の乏しさと総合的に子どもをみる機関がないと感じていた。 22q11.2欠失症候群の子どものケアニーズに沿った支援として、就学時の支援はもちろん、症状管理、発達支援、養育支援、生殖に関する選択の相談の場が必要であると考えられた。このことからも、就学中の子どもの相談体制及び、心のケアができる体制つくりに取り組むことになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ感染症予防対策のため、就学ガイド活用校に出向き医療教育が実施できなかった。計画変更し、全国の22q11.2欠失症候群の家族を対象に、オンライン学習会を2回実施し、約230名のを参加者を得た。また、就学ガイド活用中の子どもたちの心のケア体制の構築を目指すという方向に、研究計画を一部変更した。
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今後の研究の推進方策 |
就学ガイドを活用しながら就学する子どものサポートとして、共同研究者である山梨大学大学院総合研究部精神科医の石黒浩毅医師と認定遺伝カウンセラーが、都立松沢病院内に22q遺伝外来を開設し、就学中の子どもの心のケア体制を担当できる方向となった。就学中だけではなく、22q11.2欠失症候群の大人になっていく子どもたちの心のケア体制が構築できれば、子どもも親も安心して様々なことにチャレンジできる。 就学中の子どもの能力や特性が適正な評価を受け、社会的に認められることにより、子ども自身が自己肯定感を得る体験を積み重ねられる。学校生活で居場所や活躍の場を認められる経験は社会性として培われ、その後の適応力向上に反映されると考えられる。また青年期、成人期へと成長する子どもが、22q11.2欠失症候群の特性について理解と配慮のある教育機会を享受することにより、自立性や社会性といった発達課題の獲得に対してもより良く成し遂げていくことができる。日本でも医療者が22q11.2欠失症候群の特徴を理解し、診断時だけでなく、成長する子どもたちへの病気の説明、早期介入が予後に効果があることの説明を繰り返し行い、教育現場とも連携し子どもたちへの成人期移行の支援プログラムを構築する必要があるため、医療者と教育者との連携が重要である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染予防対策のため、研究活動のほとんどがオンラインとなり、就学ガイドの活用や講演会で使用予定であった旅費の使用ができなかった。次年度に向けて、研究計画を一部変更し、旅費を、オンライン学習会に使用できるように調整する予定である。また、現在、22q11.2欠失症候群の子どもと家族やサポーターが、いつでもオンライン上でつながることができるためにHPを作成し、使用できるよう調整予定である。
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