研究課題/領域番号 |
19K11096
|
研究機関 | 東京情報大学 |
研究代表者 |
水野 芳子 東京情報大学, 看護学部, 講師 (20730360)
|
研究分担者 |
仁尾 かおり 三重大学, 医学系研究科, 教授 (50392410)
檜垣 高史 愛媛大学, 医学系研究科, 寄附講座教授 (60253308)
西村 あをい 東京情報大学, 看護学部, 教授 (60352689)
田中 学 東京情報大学, 看護学部, 助教 (10649221)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 小児慢性疾患 / 成人期 / 転科 / 看護 / ケアモデル |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、小児医療施設で診療を受ける成人期の小児慢性疾患患者の療養の概要と看護の現状を把握し、病状と発達段階にあった看護のケアモデルを構築することである。2019年度は計画に従い、看護師を対象とした調査及び研究協力者による専門家会議において研究結果を検討した。また、日本小児看護学会学術集会において「成人期の小児慢性疾患患者-成人診療科への転科に困難がある患者の最善を考える」について研究協力者とともにテーマセッションを実施し、参加した約80名の看護師と意見交換ができた。このセッションは研究として実施はできなかったが参加者の意見は研究遂行に大変参考になった。 実施した調査の概要は以下の通りである。研究目的は、成人診療科へ転科できない成人期の小児慢性疾患患者のケアを小児病棟で実践している看護師の困難感と工夫を明らかにすることとし、成人期の小児慢性疾患患者の看護経験が3年以上の小児病棟及び外来に勤務する看護師を対象に、経験した患者・家族の転科困難な理由、患者の疾患と治療の概要、看護実践で感じた困難感、対処、配慮、工夫した実践内容について、半構成面接法を用い14名の対象者からデータを収集した。その結果、転科困難な状況として28カテゴリーが得られ、その内容は「本人の特徴」「システム」「家族の思い」「疾患・障害の特徴」「医療者の課題」があった。また看護実践は12カテゴリーが得られその内容は「自立支援」「成人看護のスキル」「環境」「転科支援」であった。データは現在も分析中である。この結果を、2020年度実施する当事者の調査結果と比較検討し、看護ケアモデルの作成の基礎資料とする。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度の研究成果を、当初2020年6月開催の日本小児看護学会学術集会においてテーマセッションで公表し結果の検討を行う予定であったが、学術集会が延期しweb開催となったため十分な意見交換ができないと判断し、参加を取り下げた。現在募集中の2020年12月開催予定の学会の交流集会に応募し、そこでの意見交換を含めて結果を考察する予定であるため遅れている。また、2020年度計画している当事者への調査についても、研究責任者所属機関での倫理審査の承認は終えたが、COVID-19感染症の影響により、協力施設においてインタビュー調査の倫理審査申請を提出できる状況にない。感染症流行の終息を待つため、研究の実施はまだ未確定となっているが、状況に合わせ必要時方法を差に検討した上で進めて行きたいと考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
2020年度は、小児を対象とした診療科に通院する成人した小児期発症の慢性疾患患者と家族を対象に、小児科診療に関する思いと要望を明らかにするインタビュー調査を行う。また、2019年度の看護師対象の調査結果の公表と検討を行う。この2つの調査結果を比較検討し、看護ケアモデルの概要をまとめる。 但し、COVID-19の流行状況により、2020年度の患者・家族対象の調査についてはインタビュー調査を郵送による質問紙法を併用するなど、方法の変更も予想される。 2020年度後期には、小児専門病院及び小児科患者の入院数が多い総合病院・大学病院の看護管理者を対象として小児医療施設で診療を受ける成人期の慢性疾患患者の治療環境及び受診の現状を明らかにすることを目的とした郵送質問紙調査を計画する。これにより、看護の対象者と対応する看護師の特徴が推察できると考えている。 これらの研究成果を研究協力者による専門家会議により検討し、結果の論文可及び看護支援モデルの案の作成を進めたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者2名が、大学業務により研究検討会及び学会学術集会に参加できず、メール及び後日での打ち合わせとなったため旅費を使用しなかった。次年度、調査を2回予定しており、会議のための旅費が必要になるため2020年度分と合算して使用したい。
|