本研究の最終目標は、多様な関係職種との協働が必要な子どもの健康課題に気づき、現場の状況や養護教諭の困難感を踏まえつつ、子ども支援のための学校内外の関係職種との協働を効果的にコーディネートする養護教諭の実践モデルを策定することである。 研究1として、国内の教育、医療、保健、福祉を含む多領域における協働の効果的なコーディネートの実践に関する文献レビュー(論文投稿、公表済み)から、養護教諭のコーディネートへの示唆を得た。研究2として、複雑な子どもの健康課題に対して、多様な関係職種との協働での支援を展開し、効果をあげている熟練養護教諭の実践事例調査を実施した。さらに、研究者の先行研究(熟練者の事例研究や困難感を持つ養護教諭とのアクションリサーチ)における知見と、研究1の文献レビューの知見をもとに、子ども支援の協働に対する養護教諭のコーディネートの概念枠組みを整理し、作成した養護教諭の実践モデルの原案について、調査協力者(国内の公立小学校3名、中学校2名、高等学校1名の養護教諭)によるメンバーチェッキング、研究協力者によるスーパーバイズを実施し、データの真実性、分析の妥当性を確保した。そして、実践モデル案を作成し、学会発表を通じて意見収集を行い、さらに、実践モデルを洗練し、策定した。 この研究成果をまとめて、養護教諭の健康相談を追究する日本学校健康相談学会に論文投稿した。現在査読中である。また、研究成果を総括した「平成31年度~令和5年度 研究成果報告書」を作成し、印刷製本して、研究に協力いただいた養護教諭および研究協力者、養護教諭養成大学の研究者、養護教諭志望学生に贈呈し、公表した。
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