研究課題/領域番号 |
19K11098
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
寺田 由紀子 帝京大学, 医療技術学部, 助教 (40738019)
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研究分担者 |
吉沢 豊予子 東北大学, 医学系研究科, 教授 (80281252)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ダブルケア / 育児と介護 / ケアリング・マスキュリニティ / 夫婦協働 / 男性の育児と介護 / 女性の就労継続 / 男性のセルフケア / ジェンダー平等 |
研究実績の概要 |
日本において少子高齢化社会が著しいスピードで進行し、晩婚化と出産年齢の高齢化によって、親の介護と乳幼児の子育てに直面する「ダブルケア」を行う人が増えている。本研究の目的は、ダブルケア(育児と介護)を行う夫婦の、とりわけ男性側の主体性を高める要因を検討し、夫婦協同のもと育児や介護を行う「コ=ケアラー」モデルの開発を行うことである。 我々は、男性側の主体性を高める要因として、欧州で施策としても活用されている「ケアリング・マスキュリニティ」という理論に着目した。この「ケアリング・マスキュリニティ」とは、男性の持つアイデンティティにケアを取り入れる理論であり、男性が主体的にケアに取り組むために必要であると考えたためである。 2020年度に「ケアリング・マスキュリニティ」を測定する尺度を開発した。この尺度開発の論文は「Reliability and Validity of Caring Masculinities Scale」というタイトルで国際ジャーナルに投稿中である。 また、ケアリング・マスキュリ二ティを持つ男性は、身体的にも精神的にも健康であるという仮説を立てて調査を行った。このことは、ケアに取り組むこと自体が、男性側にも大きなメリットを示すものであり、男性がケアに積極的に参画するための一助となり得ると考えた。現在、このケアリング・マスキュリニティと男性の健康との関連についての学会発表と論文執筆を進めている最中であり、2022年度中の公開を目指している。 これらの研究結果をもとに、育児と介護のダブルケアを行う男性の実態調査を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の感染状況の長期化の影響により、対面でのインタビューや各種支援団体の視察などが行えなかったためである。また、男性側の主体性を測定する尺度(ケアリング・マスキュリ二ティ尺度)開発を先に行っていたためである。 2021年度は、方法としてインタビューによる質的調査で夫婦協働のメリットや男性の主体性を高める要因を明らかにすることを計画していた。しかし、COVID-19の流行により、対面でのインタビューを行うことは難しい状況であった。また、男性側の主体性を高める要因として、ケアリング・マスキュリニティが有効であることが明らかになったため、今後は、この考え方を用いて研究を進めていくことに意義があると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
ケアリング・マスキュリニティ尺度を用いた量的研究を行い、ダブルケアを担う男性の主体性を高める要因を明らかにする。その際に、健康との関連を調査することで、ダブルケアを担う男性の健康状態も明らかになり、男性のケアへの参画を促進する一因となる可能性を予測している。 また、当初予定にしていたダブルケア男性の質的研究も実施し、量的研究では見えにくい具体的な事例の調査を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の感染状況により、研究計画遂行のために見積もりを行っていた旅費を使用しなかったため。
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