研究課題/領域番号 |
19K11107
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研究機関 | 西九州大学 |
研究代表者 |
森本 眞寿代 西九州大学, 看護学部, 講師 (70826578)
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研究分担者 |
永松 美雪 日本赤十字九州国際看護大学, 看護学部, 教授 (30550769)
川口 淳 佐賀大学, 医学部, 教授 (60389319)
高守 史子 佐賀大学, 医学部, 特任助教 (20833528)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 退院後早期 / 母親 / 育児不安 |
研究実績の概要 |
2020.4~9月母親の出産施設「退院後早期の育児不安」の概念を明確にすることを目的に、Rodgers の概念分析を行った。概念の特性である属性では【育児の自信のなさ】【育児負担感】【疲労感】【情報や助言への依存感】を、概念の影響要因である先行要件では、【育児の知識・技術・経験不足】【母親の特性】【妊娠・分娩・育児の否定的体験】【社会的資源不足】【社会的支援不足】【児の特性】を、概念の結果生じる帰結では、【気分の変調】【児への愛着不足】【児への愛着】のカテゴリを見出した。母親の出産施設退院後早期の育児不安の概念は「育児に自信が持てず育児負担感や疲労感を伴い、情報や助言への依存感のために落ち着かない精神状態」と定義した。また、関連用語として「ストレス」をあげた。ストレスも不安も精神的要因が伴い精神症状が出現することから統一した見解がまだ難しい段階であることも明らかにした。本論文は西九州大学看護学部紀要第2巻(2021.3.23)に原著として掲載された。 2020.12月、前年度の調査である、「出産施設退院時の母親の育児不安-退院後早期の育児不安に着目して-」の結果を第40回日本看護科学学会で発表した。 2021.2月からは尺度開発のための質問紙調査を実施している。「出産施設退院時の母親の育児不安-退院後早期の育児不安に着目して-」と「母親の出産施設「退院後早期の育児不安」の概念分析」の結果から各下位尺度5~22項目、計62項目の質問項目の原案を作成した。安心して育児に臨めない「育児不安」の因子、母親の身体面・精神面の「母親の特性」の因子、児の身体面・発達面の「児の育てやすさ」の因子、夫や家族など母親を取り巻く支援である「社会的支援」の因子、母親が不安定な気分を自覚する「気分の変調」の因子、母親が子どもに抱く思いである「子どもへの感情」の因子の6つの下位概念から構成している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
尺度項目の選定のために、概念分析の研究を1つ追加した。またCOVID-19の流行により、研究協力機関との行き来を控えたため調整に時間を要した。さらに研究者間でも行き来ができずメール会議となったことから、連絡・調整に時間がかかった。この3つの理由により研究に遅れが生じた。しかし、概念分析を加えたことにより、尺度の項目となる質問内容には信頼性が高まったと考える。
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今後の研究の推進方策 |
新規育児不安尺度開発のための質問紙調査を継続する。フィールドは2019年に質的研究で協力を得た同じ施設と3か所の診療所を加え4施設とした。目標回収数は400部とし質問紙配布は800部ほどを予定している。配布期間は8月頃までとし、その後分析、論文作成へと繋げる。この調査の検証期間は2022.3.31までとしている。分析方法は因子分析を行い、新規尺度の構成概念妥当性を検証する。さらに他の尺度との相関係数の算出により基準関連妥当性を検証する。信頼性の検証では折半法にて両群の差の検証やI-T相関分析で相関係数を導く。さらにクロンバックα係数も導く。研究全ての過程において研究分担者、研究協力者と検討を重ね共通認識のもと研究を進めることとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度はCOVID-19の影響で、研究が遅れた。また国内および国際学会は延期や開催方法の変更(リモート)が行われ、交通費や宿泊費等の予定していた費用はかからなかった。しかし、予定が後ろ倒しとなったことより、2021年度は尺度開発研究実施のため物品購入や謝金等に使用することを予定している。また2020年度予定されていた国際学会も2021年度6月にリモートで開催される。その参加費にも費用が必要となることより、繰越金で賄うことを予定している。
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