研究課題
本研究は、ソーシャルキャピタルを活用した要介護への進展予防、フレイル予防に向けた対策モデルの構築を目指すものであるが、これには、近年の新型コロナウィルス感染症流行下による高齢者の心身機能低下への影響および高齢者を取り巻く社会の変化を踏まえる必要がある。今年度は、これら社会背景を踏まえて介入モデルの検討を行った。特に、地域在住高齢者を対象としてコロナ禍で収集されたデータについて、前年度は、ICT利用と孤独感の関連が認知機能に及ぼす影響の分析を行ったが、これに加えて今年度は、社会参加の切り口から、高齢者のインターネット利用とフレイルの認知(フレイルという言葉の意味知っているかどうか)の関連におけるソーシャルキャピタル・社会参加の影響を分析した。分析の結果、フレイルという言葉の認知率は、地域によって有意な差があることが明らかとなった。また、本人がフレイル状態であるほどに、社会参加およびICT利用の両方をしていない人の割合が高くなっていた。多変量解析の結果、フレイルの認知度に関連する要因は、性別、年代、健康状態により異なり、インターネット利用のみでも認知度が高まる場合もあるが、社会参加をしていることでより促進されることが明らかとなった。本結果は、米国老年社会学会にて報告した。現在、介護予防対策の柱として、多くの自治体でフレイル予防事業が推進されており、フレイルという言葉や概念の理解や啓発を促進することも重要な活動である。本研究結果より、フレイルの理解を広める際には、社会参加の促進と両輪で進めることや、対象者の年齢や性別等、その特徴に応じたツールの活用が効果的であることが示唆された。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 5件)
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