研究課題/領域番号 |
19K11142
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研究機関 | 札幌市立大学 |
研究代表者 |
本田 光 札幌市立大学, 看護学部, 准教授 (80581967)
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研究分担者 |
町田 佳世子 札幌市立大学, デザイン学部, 教授 (40337051)
石井 雅博 札幌市立大学, デザイン学部, 教授 (10272717)
喜多 歳子 札幌市立大学, 看護学部, 教授 (30530266)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 子育て支援 / ソーシャル・サポート / 孤独(孤立) / ポピュレーション・アプローチ / ウェルネス支援 / チャット・ボット / アプリ開発 |
研究実績の概要 |
1)プロジェクトの1年目は、まずロボットアプリの中心的内容のとなる「子育てを通して出会う地域の人々とのつながりを測定する尺度」を確定し、英論文にまとめて投稿した。さらにこの調査データを用いて、地域の人々とのつながりが弱い母親の社会経済的要因を明らかにすることを目的に追加の分析を行った。その結果、地域の人々とのつながりが弱い母親の特徴は、母親の年齢が20~24歳であること,保育所または幼稚園を利用していないこと,家計の状況が好ましくないこと,近隣における人的交流に対する母親の認識が好ましくないことであった.母親の最終学歴が中学・高校卒である場合も母親の地域の人々とのつながりは弱かった.この成果についても英論文にて投稿の準備ができている。 2)ロボットアプリの開発に向けては、共同研究者と3回にわたる会議を開催した。第1回会議では、Voice user interfaceなどの最近の新技術についても情報交換し、本プロジェクトへの応用について検討された。第2回会議では、開発するロボットアプリの利用者像を明確にするために「ペルソナ」および「カスタマー・ジャーニーマップ」を制作して議論した。また昨今、行政等でも活用されつつある「子育てチャットボット」についても報告書をもとに情報を共有した。そして、本研究の目的とその意義を再検討した結果、当初予定していたPepperの活用については、その即答性が悪いこと、利用者はPepperが設置される調査場所まで出向かなければならず、また対応できる件数に限りがあることからポピュレーションアプローチとしてのウェルネス支援には適していないこと等が課題として挙げられた。そこで、現在、広く普及しているLINEを活用したチャットボットを活用してみることになった。第3回会議では、チャットボットのプロトタイプを製作して、これに「コネリン」と愛称を名付けた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・研究計画の1年目に予定していた母親の子育てを通して出会う地域の人々とのつながりを測定する尺度の決定および関連要因の検証について2本の論文に整理して投稿中である。これにより、論文が採択された際には、この尺度を使用したチャットボットを用いて、調査が可能となる。 ・共同研究者との議論を経て、当初予定していたロボット(Pepper)の活用は見送り、今後の後続ロボットの登場を待つこととした。代わりに、研究目的の実現を目指してチャットボットを開発している。1年目は、このチャットボットを汎用性の高いLINEに搭載したプロトタイプを製作し、共同研究者全員で試行した。この会議において、プロジェクト2年目の活動の方向性および役割分担について確認した。
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今後の研究の推進方策 |
・プロジェクト2年目は、チャットボットの会話パターンの精選、およびチャットボット「コネリン」のキャラクター設定を作り上げる必要がある。その後、1年目に製作したプロトタイプを土台にして研究分担者がチャットボットの開発およびLINEへの搭載を行う。プレ調査は、子育てをしている母親の特徴を理解している保健師養成課程で学ぶ学生30名を対象に実施したいと考えている。調査計画の立案にあたっては、そもそもチャットボットで調査が可能なのか、何が明らかになり得るのか、誰の何に役立てるチャットボットを開発できるのか、「コネリン」という仮想のキャラクター設定が良いのか、もしくは「専門家が回答します」というような”オズの魔法使い”を方法論として用いる方が良いのかなど、さらに詳細を検討する必要がある。 ・しかし、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて、学生の登校自粛、また研究者自身も大学教育と運営にかかる緊急的応急的対応に従事しているため、2年目の進行は遅れる可能性がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していたロボット(Pepper)の購入を取りやめたことにより余剰金が発生した。次年度にチャットボット開発を行うにあたって、チャットボットツールの開発(hachidori)やLINEとの契約が必要となり、その経費に充てんされる予定である。
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