研究課題/領域番号 |
19K11147
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
長畑 多代 大阪府立大学, 看護学研究科, 教授 (60285327)
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研究分担者 |
笹谷 真由美 神戸女子大学, 看護学部, 准教授 (50435327)
松田 千登勢 摂南大学, 看護学部, 教授 (70285328)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 認知症ケア / 感情労働 / バーンアウト予防 / リアリティショック |
研究実績の概要 |
認知症高齢者およびそのケアの特徴から生じる困難感や不全感等、ケアに携わる専門職の感情労働の実態とそのサポートニーズを明らかにすることを目的として、ケア専門職の感情労働、対人援助ストレスに関する先行研究および文献検討に基づき、個別面接調査における半構造化質問紙及び面接ガイドラインを作成した。認知症ケアに携わる専門職として、特別養護老人ホームや介護老人保健施設、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)等の介護保険施設において日常生活援助を行う介護職、健康管理を担う看護職に焦点をあてることとし、特に認知症ケア経験の比較的浅い時期での経験を多面的に引き出すことを意図した。 感情労働尺度の構成概念、看護師のバーンアウトの関連要因、介護専門職の感情労働とバーンアウトの関連、医療・介護・福祉分野の支援職が受けるストレス、認知症ケア実践者が抱く感情規制等の先行研究より、ケア対象である認知症高齢者に対する《怒り》《苛立ち》といった否定的な感情、自身のケアを評価できず達成感のなさから生じる《不全感》《徒労感》、思うようなケアができない自分に対する《情けなさ》《落ち込み》、思い描いていたケア環境とは違う現実に直面した《リアリティショック》等、体験する感情労働は多角的な側面があり、これらを具体的に引き出すことによってサポートニーズが浮き彫りになると考えられた。医療機関からの転職者が多い特別養護老人ホームの新人期看護師の面接調査データ(2017年実施)を再分析し、インタビューガイドに反映させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は認知症ケアに携わる高齢者施設のケア専門職(看護職・介護職)への個別面接調査を予定していたが、施設への依頼と研究参加者のリクルートを開始したところで、新型コロナウイルス感染症の拡大により、高齢者施設への立ち入りや職員への接触が困難となり、対面での面接調査の実施を延期せざるを得ない状況となった。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は前年度に実施できなかった認知症ケア専門職への個別面接調査を実施する。対象が勤務する高齢者施設は、2020年4月現在で大半の施設が新型コロナ感染症拡大防止のため、外来者の立ち入りを禁止している。そのため対面による面接調査だけでなく、Web会議システムの導入も検討するが、ネット環境が整っていない施設も多いことから、個人使用の端末を用いて実施せざるを得ないケースも多いことが推定され、個人情報保護の観点から慎重な検討が求められる。そのため、対面での面接調査が可能になるまで実施を延期する可能性も考えられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度に予定していた面接調査が、新型コロナウイルス感染拡大の影響により実施できなかったため、これに係る交通費や謝品費、データ分析費等の支出がなくなり、次年度使用額が生じることとなった。今年度に面接調査を実施し、次年度の計画と合わせて研究を進めることを予定している。
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