研究課題/領域番号 |
19K11153
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研究機関 | 金城大学 |
研究代表者 |
彦 聖美 金城大学, 看護学部, 教授 (80531912)
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研究分担者 |
大木 秀一 石川県立看護大学, 看護学部, 教授 (00303404) [辞退]
曽根 志穂 石川県立看護大学, 看護学部, 講師 (30381700)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 男性介護者 / 家族介護者 / 災害看護 / ソーシャル・キャピタル |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、男性介護者世帯に対する災害時に向けた健康と危機管理、防災に対する準備状態を①男性介護者(当事者)自身、②保健・医療・介護領域の専門職支援者、③地域住民の3側面から量的・質的に把握し、男性介護者との共助の在り方を検討することである。 令和2年度は、①男性介護者(当事者)自身、③地域住民に対する「防災セミナー」とフォーカスグループインタビュー調査を実施する予定であったが、新型コロナウイルス感染症の拡大によりの実施を断念した。 ②保健・医療・介護領域の専門職支援者に対する調査として、A県内の全訪問看護ステーションと全地域包括支援センター130か所に対する郵送法質問紙調査を実施した。現時点で回答があった40施設の防災の取り組み状況は、「災害対策マニュアル」がない施設は5(12.5%)であったが、災害対策の充足度の評価は「十分だと思う」3(7.5%)、「まあ十分だと思う」12(30.0%)、「あまり十分ではない」17(42.5%)、「十分ではない」8(20.0%)であった。介護者世帯に対する防災の取り組み状況では、「している」16(40.0%)、「していない」18(45.0%)、検討中6(15.0%)であった。「避難時要支援者」の対象として重点的に支援をしていかなければならないと考えている対象者・世帯(自由記載)では、医療依存度が高い人(世帯)、独居、老老・高齢者世帯、難病・身体障害(で若い人)等が多く挙げられた。男性介護者世帯に対する防災支援(自由記載)では、「近隣住民や住民組織・民生委員との日ごろからの付き合いがなく、いざという時、協力を得られ難い」、「避難が必要でも、家にいることを選択する」、「地域とのつながりが少ない、近所に頼ることができないケースがある」等の意見が挙げられた。引き続き、居宅介護支援事業所に対して同調査を実施し、統合して分析する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和2年度は、①男性介護者(当事者)自身、③地域住民に対する「防災セミナー」とフォーカスグループインタビュー調査と②保健・医療・介護領域の専門職支援者に対する質問紙調査を実施する予定であった。しかし、新型コロナウイルス感染症拡大により、①の男性介護者(当事者)グループと対象者③の地域住民グループに対する「防災セミナー」の実施とフォーカスグループインタビュー調査実施のタイミングを見極めることが出来ない状況が続き、結果的に実施を断念した。 また郵送法質問紙調査も、対象の専門職支援者のコロナ感染症対応による業務負担に配慮した郵送の時期・タイミングを考慮しているうちに、年度内に完了ができなかった。現在、郵送法質問紙調査を継続中であり、結果のまとめ、分析に努力しているところである。 進捗に遅れが生じ、研究期間の延長はやむを得ない可能性が高いが、調査対象者や施設に対する感染症予防を徹底しながら、引き続き調査を進めることは可能であり、研究の目的達成と研究全体の遂行に関して大きな問題は生じていない。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は、引き続き、対象者②の保健・医療・介護領域の専門職支援者に対する質問紙調査の実施と分析を継続し、結果を分析。まとめる。 同時に、対象者①の男性介護者(当事者)グループ、③の地域住民グループに対す防災セミナーとフォーカスグループインタビュー調査は、適切な時期を判断して、オンライン等も活用して実施していく予定である。 結果は速やかに公衆衛生関連及び在宅ケア関連の学会や学術雑誌において公表していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)新型コロナ感染症の長期的な流行により、予定していた調査の実施が出来ず、調査実施やイベント実施に係る経費、分析、成果報告に関して、次年度へ繰り越す使用額が生じた。 (使用計画)令和3年度は、保健・医療・介護領域の専門職支援者に対する質問紙調査を実施するための郵送法自記式質問紙調査に係る費用、男性介護者(当事者)グループと地域住民グループに対する防災セミナーの開催とフォーカスグループインタビュー調査に係る費用、およびセミナー開催や資料準備・インタビューのテープ起こし費用、得られたデータ入力作業に必要なアルバイト謝金、結果の分析等に必要な当事者や研究者との意見交換の費用、網羅的な情報収集のための文献・書籍等、成果の公表等のための経費を予定している。
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