研究課題/領域番号 |
19K11153
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研究機関 | 金城大学 |
研究代表者 |
彦 聖美 金城大学, 看護学部, 教授 (80531912)
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研究分担者 |
大木 秀一 石川県立看護大学, 看護学部, 教授 (00303404) [辞退]
曽根 志穂 金城大学, 看護学部, 講師 (30381700)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 男性介護者 / 家族介護者 / 災害看護 |
研究実績の概要 |
令和3年度は、②保健・医療・介護領域の専門職支援者に対する実態把握調としてA県内の全居宅介護支援事業所320か所の介護支援専門員に対する郵送法質問紙調査を実施した。回答があった55施設の防災の取り組み状況は、「災害対策マニュアル」がない施設は2(3.6%)であったが、災害対策の充足度の評価は「十分だと思う」1(1.8%)、「まあ十分だと思う」26(47.3%)、「あまり十分ではない」19(34.5%)、「十分ではない」7(12.7%)であった。介護者世帯に対する防災の取り組み状況では、「している」13(23.6%)、「していない」27(49.1%)、「検討中」14(25.5%)であった。「避難時要支援者登録」に関しては、「全員登録している」5(9.1%)、「半数以上登録している」9(16.4%)、「登録は半数以下である」5(9.1%)、「登録は少数である」9(16.4%)、「全く登録していない」12(21.8%)、「不明」15(27.3%)と、登録の実態についての把握できていない状況であった。 男性介護者世帯に対する支援の難しさを感じる度合いは、「強く感じている」10(18.2%)、「少し感じている」34(61.8%)と困難を感じる回答が半数以上であったが、男性介護者世帯に対する防災支援の必要性に関しては「あまり感じていない」22(40.0%)であった。その理由として「男性介護者世帯だから必要ではなく、介護世帯に必要」等、全介護者世帯に対する支援の必要性を感じる意見が多かった。その他、「男性介護者はケアマネジャーが思うほど支援を求めてくれない」、「現実の生活、特に貧困や孤立した世帯では他者を受け付けない」等の介護者世帯全体に対する支援の難しさが挙げられた。これまで実施した実態調査を統合して分析し、男性介護者を含む地域における介護者世帯に対する防災支援を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和3年度には、①の男性介護者(当事者)③の地域住民グループに対する「防災セミナー」を実施し、質的なデータも収集して考察を深める予定であったが、対面でのイベント開催のタイミングを見極めることが出来ない状況が続き、結果的に実施できなかった。進捗に遅れが生じたが、これまで得られた実態把握調査を統合して分析し、本最終年度は、調査報告書を通じて必要な情報を提供できる状況であり、調査研究の目的達成と研究全体の遂行に関して大きな問題は生じていない。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間を1年延長し、令和4年度はこれまで得られた実態把握調査結果を統合して分析し、①男性介護者(当事者)、②保健・医療・介護領域の専門職支援者、③地域住民に対して、必要な情報を提供するような調査報告書をまとめて、その周知をしていく予定である。 加えて、これまでの調査で得られた知見をまとめ、速やかに公衆衛生関連学会及び在宅ケア関連学会や学術雑誌において公表していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症の長期的な予防対策により、予定していた防災イベントや調査の実施が出来ず、研究全体の進行が遅れた。そのため調査実施やイベント実施に係る経費、分析、成果報告に関して、研究期間を1年延長して次年度へ繰り越す使用額が生じた。 令和4年度は、①男性介護者(当事者)、②保健・医療・介護領域の専門職支援者、③地域住民に対して必要な情報を提供するためのデータの分析、報告書の作成デザイン・印刷等に係る経費やアルバイト謝金、および調査結果を踏まえた男性介護者・家族介護者に対する防災支援イベントの開催にかかる経費や旅費、成果の公表等のための経費を予定している。
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