研究課題/領域番号 |
19K11154
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研究機関 | 椙山女学園大学 |
研究代表者 |
野中 光代 椙山女学園大学, 看護学部, 助教 (50269651)
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研究分担者 |
柳澤 理子 愛知県立大学, 看護学部, 教授 (30310618)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 肥満 / 知的障害 / 母親 / 行動分析 / 自閉症 |
研究実績の概要 |
昨年度に引き続き、開発した自閉症を伴う成人重度知的障害者の肥満改善に向けた母親への介入プログラムを実施し、プログラム効果検証のデータ収集を8月まで行った。ベースライン2週間・介入4か月・フォローアップ3か月の計7か月半を、9組の重度知的障害者母子(母親;平均年齢60.9歳、子ども;平均年齢30.8歳、男性8名女性1名、平均BMI 31.7)が完了した。その後データを分析し、博士論文を執筆した。プライマリーアウトカムの体重・腹囲は、7名が減少した。3%以上減量は介入4名、フォローアップ5名、5%以上減量は介入2名、フォローアップ4名、1例は10%以上減量した。ベースライン平均を1とした標準化体重は、介入0.978、フォローアップ0.960、p=.045、標準化腹囲は、介入0.965、フォローアップ0.960、p=.013(Friedman test)、多重比較(Tukey)の結果、体重はベースラインとフォローアップ(p=.049)、腹囲はベースラインと介入(p=.017)、フォローアップ(p=.038)ともに有意に減少した。セカンダリーアウトカムの母親の行動実施の有無、子どものこだわりの得点、ターゲット食品摂取量の結果、全母親が実施率ほぼ80%以上の項目が1つ以上あり、子どものこだわりの得点は全員がいつもと変わらない0点又は低く経過し、ターゲット食品摂取量は1名を除いて減少した。本プログラムの新規性は重度者向けという点と母親を対象としている点である。行動分析学と母親の肥満容認プロセスの2つの講義が母親の自己の客観視を促し、行動変容させ、看護師の定期的な介入と減量時に「子どもと争わない」ことが強化子となり、母親の行動変容を維持し、自立度の低さから減量に結び付いた。 プログラム作成までを愛知県立大学看護学部紀要に投稿し、原著論文として採択された。博士論文は合格し課程を修了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルス感染拡大により、施設の閉鎖やヘルパーとの外出ができなくなるなど、知的障害者母子の日常生活にも影響があったが、施設や母子の協力を得ることができ、おおむね予定通りデータ収集を終えることができた。共同研究者や研究協力者とも、対面だけでなく、Zoom、メール等を使って、研究指導や意見交換など協力を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の一部を、アメリカ公衆衛生学会APHAの10月の学会に向けて抄録を提出した。デンバーとZoomのハイブリット開催の予定であるが、新型コロナウイルス感染拡大が収まるか不明であるため、Zoomのポスター発表で準備を進めていく。論文は、journal of intellectual disability researchへ投稿する準備を進めている。また、研究の成果をまとめたガイドラインを作成し、研究協力施設等への配布を行う。今後は、開発したプログラムを、本研究代表者ではなく、知的障害者通所施設の看護職や管理栄養士等が行った場合の効果や、自閉症以外の重度知的障害者を対象にした場合の効果について、プログラムの汎用性を検証していく。研究体制については、共同研究者、研究協力者ともに引き続き協力の承諾を得ており、科研費申請予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度は、国際学会発表と英語論文投稿のためのネイティブチェックや参加費、投稿費用が生じる。また、研究成果をまとめたガイドラインを作成し、研究協力施設等へ配布するための印刷代や郵送代等が生じる予定である。
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