令和4年度は研究成果を論文投稿し、Journal of international nursing researchに採択された。 令和元年は、研究代表者の先行研究である「自閉症を伴う在宅重度知的障害者に対する母親の肥満容認プロセス」と行動分析学を基に、重度知的障害者の肥満改善に向けて、看護師が母親へ介入する減量プログラムの原案を作成した。令和元年5月に専門家パネルを開催し、プログラムの妥当性、実行可能性について6名に検討いただき、プログラムを修正した。6月修正したプログラムを、成人重度知的障害者母子2組にプレテストを4日間実施、修正し実行可能性を高めた。8月~令和2年8月、研究者が自閉症を伴う在宅重度知的障害者母子にプログラムを実施し、効果検証をした。ベースライン2週間、介入4か月間、フォローアップ3か月間とした。10施設10組の母子が参加し、9施設9組(母親;平均年齢60.9歳、子ども;平均年齢30.8歳、男性8名女性1名、平均BMI 31.7)がフォローアップまで終了した。体重・腹囲は7名が減少し、3%以上5名、5%以上4名、10%以上1名であった。ベースライン平均を1とした標準化体重、標準化腹囲は介入、フォローアップともに有意に減少した(Friedman test)。セカンダリーアウトカムは、全母親が実施率ほぼ80%以上の項目が1つ以上あり、子どものこだわりの得点は全員がいつもと変わらない0点又は低く経過し、ターゲット食品摂取量は1名を除いて減少した。知的障害者の肥満は世界中で問題になっている。本プログラムの新規性は「重度者向け」「対象が母親」の2点である。行動分析学と母親の肥満容認プロセスの2つの講義が母親の自己の客観視を促し、行動変容させ、看護師の定期的な介入と減量時に「子どもと争わない」ことが強化子となり、母親の行動変容を維持し減量に結び付いた。
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