研究実績の概要 |
アンケート調査結果は、目的:就労しながら親の介護をするシングル介護者の健康関連QOLを退院後1か月時と3か月時で比較し,健康関連QOLの変化を考察した. 方法:在宅介護開始1か月時と3か月時の2時点において自記式質問紙調査を行った.対象者の基本属性と労働時間と介護時間,被介護者の介護度及び認知度などを調査した.健康関連QOLの測定にはSF-8TM)を使用し退院後1か月時および退院後3か月時の比較をした. 結果:健康関連QOLにおけるサマリースコアは,特に精神的サマリースコア(1か月時: 41.9±8.9, 3か月時: 42.9±8.1)は有意に低くかった(p<0.001).サマリースコアを1か月時から3か月時で比較すると、身体的サマリースコア(47.5±9.6→45.9±9.4)は低下し,精神的サマリースコア(41.9±8.9→42.9±8.1)は上昇したものの有意な差はなかった. 結論:在宅移行期のシングル介護者は身体面より精神面の健康関連QOLが統計的な有意差を確認することは出来なかったが低下傾向であった.このことは,シングル介護者のみではなく在宅介護を行う介護者に共通な問題であることが先行研究からもわかった. インタビュー調査では、病院退院直後から3か月以上に及ぶ親の在宅介護と就労の両立は,シングル介護者の介護負担感を増大させていることが分かった.その為,介護者の身近で相談出来る人の存在が介護と就労の両立意欲に影響していた.シングル介護者の親の介護と就労の両立が可能になるように医療機関・職場・社会の配慮はなされていない現状がわかった。その為、介護者の身近で相談出来る人の存在が介護と就労の両立意欲に影響していることが示された。シングル介護者が親の介護と就労の両立が可能になるように医療機関・職場・社会ができる取り組みのシステム構築が必要となる。
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