研究課題
本研究では、フレイル発生後から要介護までの身体的、精神的、社会的つながりなどの変化の過程を経年的に追跡し、その過程でフレイルの構成要素を再構し、新たなフレイル概念要素を導き出すことである。本年度は、タイ・ナコムパトム地域在住高齢者を対象に質問紙調査を行い、183名が参加した。5項目簡易フレイルインデックスについて有効な回答が得られた182名(平均年齢77.7歳、男性58名、女性124名)を解析対象とした。簡易フレイルインデックスが3点以上をフレイル群、2点以下を非フレイル群とした。フレイルの有無を従属変数とし、ロジスティック回帰分析(年齢、性で調整)を行った結果、基本的ADL、うつスコア、5項目転倒スコア、手段的自立、知的能動性、社会的役割が関連項目であった。これらでモデルを作成しロジスティック回帰分析を行った結果、うつスコアがフレイルの有無に関連していた(オッズ比1.2、95%信頼区間1.0-1.4 )。フレイル予防のために精神的な落ち込みに注意する必要性が示唆された。2023年3月に家庭訪問を行った。対象は前述の質問紙調査で基本的ADLが維持されてたた高齢者8名で、特に健康の秘訣、心の安寧について聞き取りを行った。82歳女性は現役の美容師で、「女性は美しくしておくこと、つまり、身なりや美容に気を付けることが大事である」と話してくれた。元気の秘訣は、瞑想、心穏やかにいること、お寺に行くこと、お坊さんにお布施をすることであった。一方、タイにおいて高齢者が働くことは、親を大事にしていないと考えられるため、社会的に良くないことと考えられている。しかし、女性の息子は、店を開けていることで、誰かと会話することができるため、その方が良いと考えていた。高齢者の健康に関して、若い人の考え方が変わりつつあるのかもしれない。高齢者の精神的な点において、研究を継続していく。
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Medical Science Digest
巻: 48 ページ: 252-254