研究課題
関節リウマチ(RA)は、関節の炎症や破壊を伴う慢性炎症性疾患であり、他の慢性疾患と比較してサルコペニアの有病割合が高い。しかしながら、RA患者におけるサルコペニアの発症リスクは明らかになっていない。本研究では、RA患者におけるサルコペニア新規発症のリスク要因を明らかにすることを目的とした。2019年度の調査では、京都大学医学部附属病院リウマチセンターに通院するRA患者を対象に筋肉量、筋力、歩行スピード、栄養状態、精神状態やヘルスリテラシーなどの患者特性に関する調査を行った。RA患者のサルコペニアリスク因子研究では、2014年度にサルコペニアを合併していなかったRA患者において2019年度の新規発症率を調べた。その結果、24%のRA患者がサルコペニアを新規発症しており、サルコペニアの新規発症には栄養状態が関連していることが明らかになった。また、2019年度の横断研究において、RA患者では血清ビタミンD濃度(25(OH)D)低下とサルコペニアの有病とが関連しており、サルコぺニア構成要素のうち歩行速度の低値が血清ビタミンD濃度(25(OH)D)低値と関連していることが明らかになった。また、本研究課題中に拡大している新型コロナウイルス感染症のパンデミックに関して、新型コロナウイルスのパンデミック前後のRA患者の心理負担に関する報告に続き、ヘルスリテラシーが低いRA患者はCOVID-19に関する知識が乏しく、日常生活習慣の変更や予防行動を講じていない傾向があることを明らかにした。以上の結果を国内外での学会で発表し、国際誌で報告した。今後は、これらの結果をもとにRAに特化したサルコペニアの進展予防ケアモデルの確立を目指すと共に他の免疫疾患におけるサルコペニアの実態調査を行う予定である。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件)
PLOS ONE
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