虚弱高齢者として寝たきりで経口から摂取していない高齢者を対象者とした。 寝たきり非経口摂取高齢者の口腔内の状況の調査として、口腔内の湿潤度と細菌数の測定を数日間継続的に行った。寝たきり非経口高齢者は経口摂取を行わないため、経口摂取者でみられるような日内変動は認められなかった。 寝たきり高齢者の口腔内は著しく乾燥し口腔内細菌数が多い状態であることがわかった。また、残存歯数や内服薬剤数などの属性と口腔内の状況について検討を行った。残存歯が多い寝たきり非経口高齢者は口腔内の清掃状態が悪いことがわかった。 これらの結果を基に寝たきり高齢者にとっても安全で実施可能な口腔ケア方法を検討を行った。ジェル状保湿剤を用いた口腔ケア方法を寝たきり高齢者に2週間実施し、その効果の検討を行った。対象者は少人数であったが、口腔内の湿潤度は上昇し口腔内の乾燥改善が見られた。口腔内細菌数については有効な効果が認められなかったが、ケアを継続することで口腔内の湿潤度がさらに上昇することで、口腔内細菌数の減少も期待できると考えている。また、実施したジェル状保湿剤を用いた口腔ケアは寝たきり非経口高齢者に対して安全で実施可能な方法であり、日常的口腔ケアとして看護師が行うことができる方法であった。 (新型コロナウィルス感染拡大に伴い研究期間を延長したが、対象者が虚弱高齢者であるため対象者数の拡大を実施することが困難であり、予定していた研究計画を一部完遂することができなかった)
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