研究課題
IPOS(Integrated Palliative care Outcome Scale)は国際的に広く用いられている緩和ケアの患者報告型アウトカム尺度であり、スタッフ版も用意されている。わが国ではがん患者を対象にした信頼性・妥当性の検討が既に終了している。本研究の目的はIPOSの非がん患者に対する信頼性・妥当性の検討である。2019年度は研究計画書を作成し、東北大学大学院医学系研究科倫理委員会倫理委員会の承認を受けたのちに、まず、エキスパートパネルによるIPOSの非がん患者への適用についての検討を行ったのちに、慢性心不全、COPD、慢性肝不全、腎不全、神経難病、フレイルなどで予後が1年以内と予測される非がん患者とその患者を看護する看護師を対象にパイロット調査を実施した。2020年度はこのパイロット調査の結果を踏まえて修正したIPOS調査票および作成したIPOS使用マニュアルを用いて慢性心不全、COPD、慢性肝不全、腎不全、神経難病、フレイルなどの非がん患者を対象に信頼性・妥当性検討の本調査を開始した。COVID-19の影響で調査フィールドに入ることが困難な施設が多く症例集積に時間を要したが、2021年度末までに病院・施設等で対象症例となる非がんの高齢患者223症例分のデータを集積できた。2022年度は高齢患者223症例のデータを分析した。分析の結果、IPOSは非がん高齢者への使用で十分な信頼性・妥当性を有することを示すことができた。ただし、IPOSの患者評価と医療者評価の相関はあまり高くなく、それは患者報告型アウトカムの重要性を裏付ける結果と考察した。非がん患者に対する表面・内容妥当性および実行可能性について日本語論文、信頼性・妥当性に関して英語論文として投稿し、どちらも採択された。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件)
Geriatr Gerontol Int
巻: 23 ページ: 517-523
10.1111/ggi.14603
Palliative Care Research
巻: 18 ページ: 283~291
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