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2020 年度 実施状況報告書

多職種・多機関連携による地域包括ケアシステムへの「栄養改善」実装化モデルの構築

研究課題

研究課題/領域番号 19K11176
研究機関順天堂大学

研究代表者

藤尾 祐子  順天堂大学, 保健看護学部, 先任准教授 (60637106)

研究分担者 小平 めぐみ  国際医療福祉大学, 医療福祉学研究科, 准教授 (00611691)
榎本 雪絵  杏林大学, 保健学部, 准教授 (10549091)
榎本 佳子  順天堂大学, 保健看護学部, 講師 (20637102)
小川 典子  順天堂大学, 保健看護学部, 教授 (30621726)
古川 和稔  東洋大学, ライフデザイン学部, 教授 (90461730)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード食形態 / 認知機能 / 移動能力 / 常食 / 自律支援 / 心身機能 / 地域包括ケア / 栄養改善
研究実績の概要

自立支援介護を実践する特別養護老人ホーム入所者の「食」と「心身機能」の自立性に関する研究を実施した。研究代表者が講師を務める愛知県介護力向上講習会参加施設で、研究に同意が得られた14施設の入所者1,000名を対象とし、オプトアウトにより研究情報を公開し、対象者に任意性を保障して実施した。データ収集方法は2019年5月の講習会で収集したデータから基本属性、食形態、歯の状態、認知機能、移動能力、排泄行動を抽出して統計学的に分析した。その結果、「食形態」と「認知機能」の関係では、認知症高齢者日常生活自立度では「自立」から「Ⅲa」までは常食者が多く、「Ⅲb」から「M」までは胃瘻者が多い結果であった。また、意思伝達は「できる」が常食者、「ときどきできる」は常食外者、「ほとんどできない」「できない」は胃瘻者が多かった。日課理解、年齢をいう、直前記憶、自分の名前をいう、今の季節の理解、場所の理解のいずれの項目においても「できる」は常食者が最も多かった。また、「食形態」と「移動能力」との関係では、常食者は水分摂取量、食事摂取量、離床時間の値が有意に高かった。食形態と移動能力との関係では、常食者は、屋内外歩行は「自立」「見守り」「一部介助」、屋内外車椅子使用は「なし」、屋内外歩行補助具使用「あり」の値が有意に高かった。これらの結果から、「認知機能」および「移動能力」の維持・向上と、「常食」の食形態の関係性が明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2019年度には、地域包括ケアに従事する医療職および福祉職12名を対象に半構造化面接法によるインタビュー調査を実施し、要介護高齢者の「栄養改善」の実態と課題の構造を明らかにした。その結果、地域包括ケアにおける要介護高齢者の「栄養改善」には、職種や機関を超えた、専門職連携教育(Interprofessional Education: IPE)の機会と専門職連携実践(Interprofessional Work : IPW)の必要性が示唆され、学術集会と学術誌に研究成果を発表した。2020年度は、自立支援介護を実践する特別養護老人ホーム入所者を対象として、要介護者の「食」と「心身機能」の関連を明らかにする計画であった。収集したデータから「食形態」と「認知機能」および「移動能力」との関係は分析できたものの、「排泄行動」との関係や、「歯の状態」と「心身機能」の分析までには至らなかった。また、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、研究分担者との分析や研究結果に関するディスカッションの機会が、なかなか確保できない状況が続いた。また、研究成果の発表もオンラインとなり、計画通りに進まない状況であった。オンライン化に対応できる状況になりつつあり、昨年度の研究成果発表予定は2021年度に行うことを予定している。

今後の研究の推進方策

2020年度からの継続研究として、自立支援介護を実践する特別養護老人ホーム入所者の「食」と「心身機能」の関連を引き続き分析していく。また、研究成果を学術集会および学術誌に発表していく予定である。さらに2021年度は、新たな視点での研究調査として、2020年度より研究者の勤務地エリアの地域包括支援センターからの依頼により「家族介護者支援」の研究調査を企画・実施しているため、本研究との関連性も含めて調査・分析していく予定である。その理由として、3期にわたり要介護者の「栄養改善」を焦点に研究を進めてきたが、地域において要介護者本人の自立性を維持・向上し、在宅生活を継続させるための家族介護者の存在や、家族介護者の仕事との両立およびQOLへの支援も欠かすことができない重点課題であることに気づいたからである。地域包括ケアにおける「栄養改善」実装化モデル構築のためには、多職種・多機関連携に加えて「家族介護者支援」も含んだ研究計画を進めていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

研究成果の発表の機会として、国内外の学術集会への参加を予定していたが、国際学会は1年延期となり、国内学会はWeb学会への変更となったことで、旅費が予算通り執行できなかったため。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Structure of Care Managers' Approaches to and Awareness of "Nutritional Improvement" for Care-dependent Older People2020

    • 著者名/発表者名
      FUJIO Yuko、ENOMOTO Yoshiko、OGAWA Noriko、FURUKAWA Kazutoshi、KODAIRA Megumi
    • 雑誌名

      Asian Journal of Human Services

      巻: 18 ページ: 1~17

    • DOI

      10.14391/ajhs.18.1

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Structuring the Effects of Functional Recovery Care in a Private Home with Care Services for Older People2020

    • 著者名/発表者名
      FUJIO Yuko、NISHIBE Makoto、ARAKI Erika、SHIMADA Hiromi、SUGIYAMA Tomoko、SATO Nobuhiro
    • 雑誌名

      Asian Journal of Human Services

      巻: 19 ページ: 1~10

    • DOI

      10.14391/ajhs.19.1

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 強化型老健で実施されている要介護高齢者の排泄自立支援の実態-具体的な支援方法と医療施設との連携について-2020

    • 著者名/発表者名
      榎本佳子, 藤尾祐子, 小平めぐみ
    • 雑誌名

      日本自立支援介護・パワーリハ学

      巻: 14 ページ: 38-47

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 静岡県東部地域における医療介護福祉専門職間の地域連携・協働実践(IPE)の現状と課題2020

    • 著者名/発表者名
      小川典子, 藤尾祐子, 鈴木江利子, 榎本佳子, 酒井太一
    • 雑誌名

      順天堂保健看護紀要

      巻: 8 ページ: 36-50

    • 査読あり
  • [学会発表] 地域包括ケアにおける要介護高齢者の「栄養改善」の実態2020

    • 著者名/発表者名
      藤尾祐子, 榎本佳子, 小川典子
    • 学会等名
      第40回日本看護科学学会学術集会
  • [学会発表] 医療施設から入所する要介護高齢者の排泄自立を支援する際の課題-在宅強化型老健におけるグループインタビューから-2020

    • 著者名/発表者名
      榎本佳子, 藤尾祐子, 小平めぐみ
    • 学会等名
      日本老年看護学会第25回学術集会
  • [図書] ハッピーエイジング2020

    • 著者名/発表者名
      佐藤信紘
    • 総ページ数
      256
    • 出版者
      毎日新聞出版
    • ISBN
      9784620326276

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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