研究課題/領域番号 |
19K11178
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
島村 敦子 東邦大学, 健康科学部, 講師 (20583868)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 訪問看護 / 観察 / 空気 / 眼球運動 / 熟練訪問看護師 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、「空気」を含む療養生活場面の観察能力を有する訪問看護師育成を目指す教材の開発を目指すものである。 2022年度は、空気を感じる場面の熟練訪問看護師の眼球運動の計測と思考内容を明らかにすることを目的とした研究計画について、所属機関の倫理審査委員会の承認を得た。その後、所属機関の周辺の市町村を中心としたおおよそ160か所の訪問看護ステーションの管理者に対して、訪問時「空気」を感じたことのある訪問看護経験年数10年以上の熟練訪問看護師10名程度を目指し、研究協力を依頼した。現在、7名の研究協力者が集まっており、模擬療養者との日程調整を開始している。研究協力者である訪問看護師と模擬療養者の日程調整後、調査を開始する予定である。研究協力者からは、言葉にならないが訪問時に「空気」を感じること、この感覚を新任訪問看護師に説明したい思いがあるとの意見が届いており、本研究の必要性を確認している。また、調査に先行して、1名の訪問看護熟練者を対象とし、調査で使用予定である眼球運動を計測する機材(アイカメラ:商品名Tobii Pro グラス3)を用いて、居宅型演習室で生活する模擬療養者を想定した模擬訪問を実施した。模擬訪問終了後、眼球運動計測データを提示しながら、観察中の思考内容に関するインタビュー調査もスムーズに実施でき、調査方法を確認することができた。データ収集後、迅速に眼球運動計測データの分析を可能とすることを目指し、分析ソフトの使い方の確認を継続して行っている。さらに、考察を深めるために、文献、書籍をもとに訪問看護師の臨床判断の特徴についてまとめている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2021年度に引き続き、感染症の拡大を懸念し、研究依頼をすることができなかった。とくに、模擬療養者を依頼する対象は、80歳代の高齢者になることが予測されたため、依頼を自粛した結果、研究の進捗に遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
最終目的を達成するために、2023年度も研究期間の延長を申請した。2023年度は、8月までに模擬療養者に対する訪問看護場面でのアイカメラを用いた調査を終了し、9,10月で動画教材試作を作成するとともに、倫理審査の承認を経て、11月~2月頃を目指して、動画教材の妥当性と有効性を検討するインタビュー調査を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
訪問看護師および模擬療養者に対する調査に至らなかったため、昨年同様、これらに関する謝金などが次年度使用額として繰り越されることとなった。今年度は、動画教材の妥当性と有効性に関するインタビュー調査も予定しているため、動画作成のためのソフト購入代、調査にかかる費用(印刷費、通信費、謝金、テープ起こしなど)、考察を深めるための書籍代として使用する。
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