(最終年度に実施した研究) 【背景】高齢者の体調を左右する食事と排泄に関する訓練は少ない。【目的】食事提供訓練と災害用トイレの使用を行う様子を動画撮影することで、問題点を客観的に明らかにする。【方法】2022年8月に特別養護老人ホームで、上水道、照明、冷房、ガスコンロの使用を停止した状態で、介護職員3名と営繕職員1名が入居者31名に災害用献立を提供した様子を撮影した。常食はアルファ化米の五目ご飯と五目豆の缶詰を、ペースト食は粥ペーストと大豆の煮物ペーストを、全員に味噌汁と水を提供した。【結果】「断水で手洗いができない中、使い捨て容器を素手で触っていた」、「点火したカセットコンロをワゴンの上に置いていた」、「火の近くでアルコールスプレーを噴霧していた」、「ランタンは食卓の明かりとしては暗かった」、「説明書どおりに調理しても粥ペーストが硬くてむせていた」、「簡易トイレのゴミの臭いが強くて保管が難しい」などが問題点として抽出された。【考察・結論】実際の作業を動画で振り返ることで問題点を浮き彫りにし、共有することができた。災害時と同じ状況で調理した一食分の献立を喫食してもらうことで、備蓄内容を検討しなおす必要性も明らかとなった。 (研究期間全体を通じて実施した研究の成果) 査読付き和文論文2本を発表するとともに、上記の訓練動画を収録したDVDとアクションカードを付録につけた書籍「給食施設・病院等における給食BCP導入の手引き」を出版した。
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