研究課題/領域番号 |
19K11204
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研究機関 | 城西国際大学 |
研究代表者 |
井上 映子 城西国際大学, 看護学部, 教授 (80194059)
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研究分担者 |
川久保 悦子 城西国際大学, 看護学部, 准教授 (30614698)
齋藤 やよい 城西国際大学, 看護学部, 教授 (40242200)
和野 千枝子 城西国際大学, 看護学部, 教授 (90461839)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 嚥下機能 / 高齢者 / 発話 / 表情筋活動 / 朗読 / FACT |
研究実績の概要 |
「発話」を活用した高齢者の誤嚥予防を目指し、援助がケア提供者に依存することなく安定して継続的に実施でき、かつ摂食嚥下に関与する表情筋の活動に結びつくような感情に変化をもたらす『笑活朗読モデル』の開発に向けて、本研究では摂食・嚥下に関与する表情筋活動に着目し、『朗読』中の口裂周囲の表情筋群の動きと「朗読」後の嚥下機能との関連を明らかにした。 対象は、機縁法で選定した地域在住高齢者(脳血管障害及び摂食嚥下障害のない方)13名で、平均年齢71.1±1.2歳、男性7名、女性6名であった。対象自身の昔語りを文章にした「朗読」前後にRSST(反復唾液嚥下テスト)3回目積算時間(以下、嚥下時間)を測定し、「朗読」中の口裂周囲の表情筋群活動は表情を動画撮影し、表情筋動作スコア(FACS:Facial Action Coding System)で評価した。「朗読」前後の嚥下時間の差の検定は、paired t-testを用い、「朗読」後の嚥下時間と口裂周囲表情筋群が関与するAction Unit(AU)との関連はPearsonの相関係数を算出し、またAUを独立変数としたステップワイズ重回帰分析を行った。 結果、「朗読」前後の嚥下時間には変化はなかった。「朗読」後の嚥下時間は、AU10(上唇挙筋)とAU24(口輪筋)と関連した(r=.56p <.05、r=.76 p<.01)。また、「朗読」後の嚥下時間は、口輪筋を使った口唇を押し付ける動き(AU24)と口唇を固く閉じる動き(AU23)の2変数が特に関連性の深い要因として抽出された。 従って、嚥下機能の維持・向上および誤嚥予防のために「朗読」を活用する際には、上唇を挙上する動きや口唇を押し付け、固く閉じる動きを取り入れることが有用である。 研究全期間を通して、「朗読」介入は摂食・嚥下に関与する口裂周囲筋の表情筋が嚥下機能に関連することを検証した。
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