研究課題/領域番号 |
19K11215
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
駒形 朋子 (阿部朋子) 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 准教授 (70361368)
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研究分担者 |
佐々木 吉子 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 教授 (90401356)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 看護業務 / AI / ロボット / ワークシェア |
研究実績の概要 |
2019年度は、予定していた調査を以下のとおり実施した。 1)管理者から見た「負担となっている看護業務」「ロボットに委譲したい業務」はなにか?(師長へのインタビュー):東京中心部の大学医学部附属病院において倫理承認を取得し、全15の一般病棟師長を対象に、30分から1時間程度の対面式半構造化インタビューを実施した。調査期間は2019年11~12月であった。音声データをすべてテキスト化し、KJ法を用いて分析を行った。分析の結果、負担/委譲したい業務としては記録、入院時オリエンテーション、病棟外への搬送などが上位に挙げられた。また「患者ファーストでありたい」と考えている一方、「いつもとても忙しくギリギリの状態でやっている」現実も浮き彫りとなった。さらに、社会の超高齢化を反映し入院の目的である疾患のほか認知症を持つ患者の増加が著しく、事故防止のための見守りへのニーズも聞かれた。 2)看護業務のコンテンツはなにか?スタッフ看護師が現場で感じる負担となる業務・委譲したい業務はなにか?(日勤看護師の直接観察およびインタビュー):1)と同じ病院において、ランダムに選出した4つの一般病棟の日勤看護師を対象に、1日の業務への同行による直接観察を実施し、事後に対面式半構造化インタビューを実施した。調査期間は2020年1~2月であった。なお、この調査は全病棟で実施の予定だったが、COVID-19流行の状況を鑑み4件実施したところでいったん中断した。対象者は、調査日の日勤者の中で1年以上その病棟に勤務し自立して一通りの業務ができる看護師の選定を師長に依頼し、同意が得られた方とした。調査は単純な直接観察で、日勤開始から終了まで同行し、すべての業務を観察・記録した。最も多かったのは患者への直接ケアだったが、インタビューでは出なかった調整業務や病棟内での移動も多くの時間を占めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していたインタビュー及び直接観察の一部は実施できた。COVID-19流行により、直接観察が全病棟では実施できなかったが、一定の分析可能なデータは収集できたと考える。 師長へのインタビューは予定通りすべての一般病棟の15師長に対して実施・完了でき、量的・質的なデータ分析も終了している。日勤看護師業務の直接観察・インタビューは、4人分が実施・完了し、こちらのデータ分析も完了している。今後分析結果をまとめ、学会発表および論文作成を行う。
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今後の研究の推進方策 |
収集できたデータをまとめ、今年度学会で、また論文として発表する。COVID-19流行によって調査実施が困難となり一時中断しているが、可能となり次第あと11件程度の日勤看護業務データ収集を再開予定である。 また、当初直接観察のデータから質問紙を作成し大規模な質問紙調査でデータを収集する予定だったが、明確な分類が難しい「名もなき業務」が多数存在することが明らかになった。このため、大規模な質問紙調査よりも直接観察データをより多く収集し、分析することが有益ではないかと検討している。 いずれにしろCOVID-19流行次第ではあるが、可能な範囲で積極的に調査を進めたいと考える。
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