研究課題/領域番号 |
19K11215
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研究機関 | 国立研究開発法人国立国際医療研究センター |
研究代表者 |
駒形 朋子 (阿部朋子) 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, 国際医療協力局, 看護師 (70361368)
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研究分担者 |
佐々木 吉子 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 教授 (90401356)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 看護業務 / AI / ロボット / ワークシェア / タイムスタディー |
研究実績の概要 |
2020年度は、前年度に引き続き病院での看護業務直接観察調査を予定していたが、COVID-19感染症拡大により病院への立ち入りが困難となり、予定した分の調査は完了できなかった。しかし、感染症流行の合間を縫って2020年12月に看護業務の直接観察調査(病棟の日勤看護師)を5名分、看護管理者(病棟師長)へのインタビューを5名分実施した。直接観察の対象者は一般病棟の日勤業務を行うスタッフ看護師で、20~40代の女性であった。観察は業務開始時間(8:10)から業務終了までとし、平均観察時間は8時間31分、観察された行動の数は平均350個であった。観察された行動の内容と時間は、多い順に情報交換・調整(422.5分)、患者とのコミュニケーション(386.5分)、医療的ケア(271.5分)看護記録(271.0分)、病棟内外の移動(261.0分)等であった。インタビューでは、基本的な看護業務に変わりはないものの、COVID-19流行の影響により患者家族への説明や身の回り品のやり取りのための時間の増加、感染管理のための環境整備業務棟の負担が語られた。そのほか、2021年2~3月にかけ診療放射線技師の業務直接観察調査を8名分実施した。これらのデータは現在整理・分析中であり、2021年度中の公表を目指す。 前年度調査結果は、2020年12月に実施された看護科学学会学術集会にて口演で発表した(駒形朋子,小笹由香,佐々木吉子. AIとのワークシェアを視野に入れた看護業務の実態調査研究)。この内容は、学術論文として執筆中である。また、2020年6月にUAEにて開催予定だったInternational Counsel of Nurses カンファレンスにおいても発表予定だったが、2021年11月に延期、オンライン開催に変更となった(演題採択済)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度の調査の結果、看護業務には業務として自覚されない種々雑多な業務(病棟内での移動やごみ捨て・片付け等)があり、それらに大きく時間を取られていることが分かった。研究開始時は、1年目のデータをもとに自記式質問紙を作成し、大規模調査を実施する計画だったが、その方法では時間がとられているが看護師自身が自覚していない業務の情報を拾いにくいことが判明し、2年目も直接観察でのデータ収集を継続することに計画を変更した。しかし、COVID-19感染症流行拡大により病棟への部外者の立ち入りが厳しく制限されていること、また看護部や個々の看護師側も調査を受け入れる余裕がない等により、調査の実施自体が難しい状況となった。一時的に調査が可能な期間に病棟で、またほかの医療従事者(放射線技師)の調査を可能な限り実施したが、十分な量のデータ収集にはいたらなかった。
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今後の研究の推進方策 |
現時点でもCOVID-19流行の収束は予見できないことから、追加データの収集は難しい可能性が高い。このため、今年度はこれまでに収集したデータの綿密な分析、文献等による補完をもって学術論文として、また学会発表を行うことを中心に計画する。もし今年度前半にCOVID-19が収束し病棟への立ち入りが可能となった場合は、看護業務直接観察調査をあと10例程度実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19流行拡大の影響により、予定していた病院での調査が実施できなかった。また、2020年6月に予定されていた国際学会が翌年に延期となり、参加費および海外旅費の支出分が繰り越しとなった。
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