研究課題/領域番号 |
19K11222
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
山内 加絵 大阪府立大学, 看護学研究科, 講師 (40363197)
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研究分担者 |
長畑 多代 大阪府立大学, 看護学研究科, 教授 (60285327)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 看取り / ユニット型特別養護老人ホーム / 連携 |
研究実績の概要 |
本研究の目的はユニット型特別養護老人ホーム(以下、ユニット型特養)の看護職に向けた、看取りにおける介護職との連携のための教育プログラムを構築することである。 少人数のグループ単位で生活するユニットでの看取りにおいては、ユニット型特養に特化した連携のあり方が求められる。またそれぞれの施設の状況により、連携における課題は多様であると考えた。そこで、ユニット型特養の1施設における課題を抽出し、その課題解決に向けた取り組みを実施することとした。 施設の課題としては、「本人・家族のニーズに沿った看取りの実現のためのアプローチ」や「本人のいきいきとしていた頃の情報や最期の過ごし方の希望などの情報共有」があげられた。その課題の解決に向けた取り組みとして、本人・家族のニーズを職員全員が把握し、それに応じた看取りを検討・実践していくためには、看護・介護職間の連携のみならず、多職種との連携を強化する必要性が確認されたため、「本人・家族の意向に沿った看取りを実現するための多職種カンファレンス」を実施していくことで合意がなされた。そこで、多職種カンファレンスをどのように進めていくかについて、月1回施設の看護・介護職員と検討を重ね、カンファレンスの指標を作成した。 具体的には、カンファレンスの実施時期を、第1段階:入居直後、第2段階:入居6カ月後、第3段階:看取り開始時、第4段階:看取り後1カ月毎とし、それぞれのカンファレンスにおける目的や確認事項、話し合うべき事項について検討し、カンファレンスの指標を作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
多職種カンファレンスを実施していくにあたり、カンファレンスの指標を作成することとなった。その検討において、一度決定した事項であっても、検討を重ねるごとに修正を繰りかえすなど、職員間の確認と合意を繰りかえし、共通認識を持って進めているため、時間を要している。また、他の職種の細かな業務が認識されていないことが明らかになるなどしてその確認作業を行ったり、お互いの職種の認識が異なっていることが明らかになるなどし、その都度話し合いの場を設けた。このことから、多職種連携を強化していくためにも、各職種の業務や役割、連絡体制等について一覧を作成する必要性が確認され一覧表を作成したり、看取りのあり方に話が及ぶなど、検討事項が多岐に渡っている。 ただ、多忙な業務の中では話し合いの時間は1時間が限度であり、また施設職員の勤務の調整上、月1回の開催が妥当であると考えるため、話し合いの回数は月1回、1時間として進めている。 また、新型コロナウイルス感染症により、施設の業務が多忙化していることや、施設に出向くことが困難になることもある。施設に状況を確認しながら、可能な範囲で研究を遂行していく。
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今後の研究の推進方策 |
研究当初は、ユニット型特養において全国調査を行い、課題を抽出することにより教育プログラムを構築することを予定していたが、それぞれの施設の状況により、連携における課題は異なると考え、今回は1施設を対象としてその施設における課題を抽出し、その課題解決に向けた取り組みを実施することとした。 2020度は、多職種カンファレンスを実施することで現場にどのような変化がもたらされたのか、連携の実践や意識の変化を分析し、施設にフォードバックしていく予定である。また、「ユニット型特養の看護職に向けた看取りにおける介護職との連携尺度」を用いて、多職種カンファレンスの実施前後で比較し、効果を検討する。 さらに、多職種カンファレンスを継続して実施していく中で、改善点等を検討し、より多職種連携が強化され、本人・家族の意向に沿った看取りの実現につながるように取り組んでいく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際学会の学会発表において、参加費や旅費が他の基金から捻出できたため、科研費からの支出はしていない。 次年度においては、国際学会にかかる費用については科研費からの支出となるため、使用予定である。
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