研究課題/領域番号 |
19K11233
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研究機関 | 桃山学院教育大学 |
研究代表者 |
栗岡 住子 桃山学院教育大学, 人間教育学部, 教授 (20736516)
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研究分担者 |
亀井 克之 関西大学, 社会安全学部, 教授 (10268328)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 中小企業経営者 / 職業性ストレス / 尺度開発 / ストレス反応 / プレゼンティーズム |
研究実績の概要 |
中小企業経営者はメンタルヘルス不調のリスクが高いうえ、経営者のストレスは経営に直結するためストレス対策は急務である。しかし中小企業経営者に対するメンタルヘルス対策は行われていないうえ、実態把握を行うための職業性ストレスの尺度がない。したがって、本研究の目的は、これら先行研究とインタビュー調査結果をもとに開発した中小企業経営者の職業性ストレス尺度の予備調査を行い、尺度の信頼性・妥当性を高めるための項目選択を行うことである。 本研究における中小企業経営者の尺度開発の流れは、先行研究とインタビュー調査から作成した。最初に先行研究から中小企業経営者の職業性ストレス要因を整理し、それらの要因に基づきインタビューにおける質問項目を作成した。本質問項目を用いて、19 人の中小企業経営者にインタビューを行った結果、全147 コード(10 カテゴリー、31 サブカテゴリー)を抽出した。 抽出した147 項目を要因毎に分けて整理し、仕事のストレス要因31 項目、修飾要因(個人要因[(基本属性も含む])24 項目、仕事外の要因9 項目、緩衝要因17 項目)、ストレス反応3 項目、合計84 項目の尺度を作成して、全国の中小企業経営者1500人にインターネット調査を実施した。 その結果、第1 に職業性ストレスモデルに基づいた構成概念による52 項目の尺度が明らかになり、信頼性・妥当性が認められた。第2 に仕事のストレス要因は、心理的ストレス反応とプレゼンティーズムとの間に強い正の相関があり、プレゼンティーズムが中小企業経営者のスレスの特徴を示す可能性が高いことが示唆された。第3 に仕事外の要因としてのワーク・ファミリー・コンフリクトがストレス反応を高め、緩衝要因としてのセルフケアは、プレゼンティーズムやストレス反応を低下させる効果があることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍であるため、インターネットを利用した調査を実施した。その結果、全国から1500人以上の協力があり、多くのデータが集まり、分析も順調に進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
今後の課題として3 点述べる。第1 に本研究は、調査に協力できる余力があると考えられる中小企業経営者であり、比較的安定した経営状態の経営者が調査に参加した可能性がある。また、女性経営者の回答者が少ないことから、今後は対象者を広げて、バイアスの少ないデータにより精度の高い分析をする必要がある。 第2 に本研究で実施した調査項目は、中小企業経営者の職業性ストレスに関わる先行研究とインタビューに基づき作成した項目であり、中小企業経営者の職業性ストレス要因を、必ずしも適切に把握できなかった可能性がある。また、本研究での分析では尺度の妥当性についての検討が不十分であった。今後は、調査項目の精度を高めると同時に、社会経済状況の変化と中小企業経営者の状況を反映できるような質問項目を再考して十分な妥当性の検討を行う必要があると考えられる。 第3 に、中小企業経営者のメンタルヘルス支援を検討するためにも、今後はストレス緩和要因をより丁寧に確認できる項目を検討することが必要だと考えられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で研究成果の発表予定の学会が次年度に延期されたため。
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