研究実績の概要 |
searchを用いて2015年~2020年の国内外の文献検索を実施し,子ども虐待防止のための医療,保健及び福祉との連携ネット,特に看護職間ネットによる子ども虐待防止支援に関する研究を検索して検討を行った。しかし,地域における支援ネットは,多くの専門機関や多職種間のネットであり,看護職間ネットに特化した研究は見当たらない。 課題解決対応看護ネット原案作成のため,2018年度の科研で試案した「ハイリスク児支援のための看護職間支援ネット」(以下支援ネット)に対する有効性を検証するため調査を行った。目的は、ハイリスク児の虐待防止支援のための医療機関看護職と地域保健師との連携・協働の実態と支援ネットの有効性を明らかにすることである。対象は,全国都道府県保健所(519か所)・管内市町村の母子保健担当保健師で,調査方法は,無記名自記式質問紙調査を実施した。調査内容は,ハイリスク児の支援の地域連携システムの有無,機関および職種,支援対象,看護職間での連携の有効性及び課題である。結果として全国都道府県保健所(519,市町村2ヵ所)に配布し,有効回答は282であった。回答者は,都道府県保健師132,市町村保健師146であった。ハイリスク児の連携システムがあるのは215(76.2%)であり,そのうち189(67.0%)が実質的な連携を看護職間で行っていた。また,204(72.4%)が直接の連携が看護職間であることは有効と回答した。医療機関看護職と地域保健師との地域連携の効果として、多い順に情報の共有や支援がスムーズである(68%),退院前からの継続支援ができる(64%)であった。課題として、連携システムに温度差がある、情報提供の標準化が出来ていない、個人情報との関連で早急な情報が伝えられない困難さ,連携・協働にタイムラグがある,などの回答があった。課題解決対応看護ネット原案の作成の検討中である。
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