研究課題/領域番号 |
19K11238
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研究機関 | 福岡看護大学 |
研究代表者 |
松尾 里香 福岡看護大学, 看護学部, 助教 (90455072)
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研究分担者 |
藤田 君支 九州大学, 医学研究院, 教授 (80315209)
永井 淳 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 教授 (70252989)
宮園 真美 福岡看護大学, 看護学部, 教授 (10432907)
宮坂 啓子 福岡看護大学, 看護学部, 講師 (40524814)
町島 希美絵 福岡看護大学, 看護学部, 講師 (90767443)
山中 富 福岡看護大学, 看護学部, 助手 (30818521)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 在宅高齢者 / ヘルスリテラシー / 尺度検証 / 口腔関連QOL / 口腔アセスメント |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、在宅高齢者のヘルスリテラシーと口腔関連QOLの実態を明らかにすること、また、口腔アセスメントツールを活用した口腔状態の評価を行うことである。研究デザインは、自記式質問紙調査および口腔アセスメントツールによる観察研究である。対象は、福岡市内の65歳以上の在宅高齢者で、研究に同意の得られた者180名とした。対象者から取得する情報は、性別、年齢、同居家族、最終学歴、経済的ゆとり感、歯磨きの回数、現病歴、要支援および要介護の有無、14項目のヘルスリテラシー尺度(HLS-14)、欧州ヘルスリテラシー尺度の短縮版(HLS-Q12)、包括的QOL尺度(SF-8)、口腔関連QOL(GOHAI)、口腔アセスメントツール(OHAT-J)である。調査開始前に予備調査を実施し、調査票の表面妥当性を確認した上、倫理審査を受けた。2019年3~7月に福岡市内の公民館、地域カフェ、老人福祉センターに研究協力依頼を行った。倫理審査委員会の承認後、研究協力の承諾が得られた施設から、調査を実施した。調査開始直後に実施した89名のうちアンケート調査を完了した79名を分析し、結果としてHLS-Q12はSF-8との相関が確認され、HLS-Q12は在宅高齢者のヘルスリテラシーの実態を把握する尺度として妥当性があることが示唆された。この結果を踏まえ、さらにHLS-Q12尺度を検証するため、欧州ヘルスリテラシー尺度(HLS-EU-Q47)との基準関連妥当性および再テストの追加調査を実施した。最終的な調査期間は、2019年5月21日~2020年3月15日であり、在宅高齢者172名のアンケート調査を回収した。現在、HLS-Q12尺度の信頼性・妥当性について分析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査初期段階の2019年5~6月に、在宅高齢者89名に調査を実施し、アンケート調査を完了した79名を対象とし分析した。結果としてHLS-Q12のみSF-8の身体的および精神的サマリースコアとの相関が確認され(r=0.255,p<0.05,r=0.418,p<0.001)、その結果についてThe 6th International Nursing Research Conference(2020.2.28・29)(大阪国際会議場)で発表した(COVID-19感染拡大の影響のため中止となり紙面上発表)。また、調査を完了した在宅高齢者30名のうち、全体の統計的な傾向から選択した典型的な事例5事例について、ヘルスリテラシーと口腔の健康状態の関連性を考察し、ヘルスリテラシーレベルが口腔の健康状態に影響している可能性が示唆され、その結果について第23回日本健康福祉政策学会(2019.9.21・22)(久山町ヘルスC&Cセンター)で発表した。 本研究の目的は、欧州で開発されたヘルスリテラシー尺度HLS-Q12が日本の在宅高齢者のヘルスリテラシーを測定する尺度として適切かを検証し、在宅高齢者のヘルスリテラシーと口腔関連QOLの実態を明らかにすることである。そのため、調査初期段階の有効回答79名で分析ソフトSPSSを用い、ヘルスリテラシー尺度として日本で広く使用されていたHLS-14との基準関連妥当性を確認したが相関はみられなかった。そこで、HLS-Q12は欧州ヘルスリテラシー尺度(HLS-EU-Q47)の短縮版であるため、基準関連妥当性の尺度としてHLS-EU-Q47を使用し、追加調査を実施した。本調査および追加調査172名の回収は2020年3月中旬で終了している。
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今後の研究の推進方策 |
アンケート調査を完了した172名でCOSMINにしたがい、ヘルスリテラシー尺度HLS-Q12の信頼性・妥当性の検証を行い、次にヘルスリテラシー尺度と口腔関連QOLの実態を明らかにする。 ヘルスリテラシー尺度の検証は、COSMINにしたがって、尺度の信頼性・妥当性・再現性について検討・評価を行う。本研究で用いたHLS-Q12は、欧州のSorensenら(2012)により開発されたHLS-EU-Q47をFinbraten(2018)が臨床的に実現可能なスクリーニング尺度として12項目の規模に縮小した。それゆえSorensen(2012)のHLS-EU-Q47を中山(2015)により翻訳されたHLS-EU-Q47日本語版を基に、Finbraten(2018)により縮小された12項目を使用した。先行研究によりHLS-Q12は一次元であることが確認されているため、確証的因子分析を行う。また、信頼性の検証では、級内相関係数(ICC)の算出による内部一貫性の評価、およびBland-Altman分析を行う。さらに、構成概念妥当性の検証、先験的仮説検証を行う。 次に、ヘルスリテラシーと口腔関連QOLの実態の検証について分析を行う。アンケート調査により得られたHLS-Q12と口腔関連QOL(GOHAI)の関係性について、口腔アセスメントツール(OHAT)により客観的評価との関係性も検証する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度の調査は、180名を対象とし研究協力施設へ出向き、アンケート調査および口腔アセスメントを実施していたが、追加調査を郵送法により実施したため通信費が発生した。次年度は回収した172名の調査票の結果を分析し、学会発表および論文投稿、研究協力施設への報告書作成を予定している。そのため、研究成果の公表に関する経費が発生する見込みである。
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備考 |
所属研究機関に着任後から現在(2019年度)に至るまでの業績が掲載されている。
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