研究課題/領域番号 |
19K11239
|
研究機関 | 活水女子大学 |
研究代表者 |
山口 智美 活水女子大学, 看護学部, 教授 (60360062)
|
研究分担者 |
井口 悦子 活水女子大学, 看護学部, 教授 (20363476)
當山 裕子 琉球大学, 医学部, 講師 (90468075)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 家族介護者 / QOL / 高齢者 / 虚弱化 / 終末期 / ケア文化 / アドバンスケアプランニング |
研究実績の概要 |
本課題は慢性状況及び終末期ケアの担い手である家族介護者を重要なヘルスケア資源と捉えて、日本のケア文化に適した家族介護者QOL尺度の開発・定量化を試みるものである。今年度は日本語QOLLTI-Fを基礎とした暫定版家族介護者QOL尺度の本試験に備えるために予備調査を延長した。家族介護者QOLの定量化を試みる上で事象を多面的に捉えつつ、重要となる因子構造について探索的に分析するために、引き続き病院、老人福祉施設、在宅、ホスピスなどの多様な療養の場をフィールドとした。また、被介護者の疾患を悪性新生物に限定することなく、様々な状況下でケアを受けている高齢者、慢性疾患罹患者及び終末期にある者として被介護者をケアする家族介護者の調査協力を得た。COVID-19の影響を受けたために調査の進展は十分とは言えなかったものの、59件のデータを得た。 対象者の80%は女性、介護者は50歳から70歳未満が全体の70%だった。被介護者の半数は介護者の実父母、また常時介護が必要な状態であった。被介護者の約8割が認知症やがん及び慢性疾患罹患者であり、介護期間は3年から10年未満が40%であった。回答者以外の家族介護者が居ない者は36%だった。25%がアドバンスケアプランニングを実施していた。 38項目から成る暫定版尺度とSOCと相関(r=.56, p<.04)の確認を行い、信頼性の検討と項目の精選結果から5項目(経済状況、交通手段、介護委譲者の有無、自責、傾聴してもらうことからの満足)を除外した。分析過程において、カナダ原版QOLLTI-Fの基礎に加えた日本のケア文化要素:家族意思決定、八百万の神に祈る、思いやり、介護が人生を豊かにし、家族の絆を強めるの他にサービス提供者との信頼関係や助言の影響が再確認された。これら結果を踏まえて次年度は本調査を実施する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の影響を受けたために年間を通じてデータ収集が困難となった。また、研究会の開催も予定よりも少なくなり、2回の研究会(対面とオンライン)を実施した。今後もCOVID-19感染状況を考慮しつつ多様な形式での研究会開催に努めながら本試験を実施したい。
|
今後の研究の推進方策 |
COVID-19感染拡大状況が続くことが予想される。予測は難しいが、多様な形式での研究会開催を試みながら本試験に係るディスカッションの充実に努めたい。できるだけ倫理審査申請を早めに行い、本調査に入ることを目標としたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
今年度は暫定版尺度を用いた予備調査を延長して実施した。家族介護者QOLの核となる因子を探索するために予定通りに多様な療養の場における様々な状況下にある介護者に調査した。COVID-19の影響で年間を通じて調査予定地域でのデータ収集が困難な状況は続いたが、予備調査は完遂したと考える。期間延長を申請して承認された次年度は今年度調査の解析結果を活かした本調査を行う。
|