年齢を重ねると暑さに対して鈍感になってくる。自宅にいても適切な水分摂取・空調による冷却がなされずに脱水状態となり、救急搬送される高齢者が多い。熱中症となる理由の一つとして、自分自身の水分状態がわからないことが挙げられる。研究代表者が保有する知見等を応用して、ポリプロピレン球、ステンレス棒、接着剤で比重調整した浮きを作製し、尿中での浮きの浮沈で脱水状態を判定できる尿比重値判定グッズの開発を行った。 ポリプロピレン球の直径を測定した後にボール盤で穴をあけ、そこに接着剤を塗布した後に、浮き全体で所定の質量となるように質量調整したステンレス棒を入れた。 接着剤が乾燥・固化するまで約1週間室温にて静置した。浮きの比重値を測定するため、濃度の異なる塩水に入れ、浮沈挙動で浮きの比重値を決定した。これまでの製作した浮きは歩留まりが43%と低かったが、ポリプロピレン球に穴をあけた後に直径を測定すること、0.001mmまで測定できるマイクロメーターで直径を測定すること、0.01mgまで測定できる精密電子天秤を用いること、分銅を用いて精密電子天秤の正確さを検証しておくこと、で歩留まりを最大85%まで向上させることができた。特に歩留まり向上に寄与した因子はポリプロピレン球の直径、すなわち、浮きの体積であることがわかった。浮きの小型化を試みたが、歩留まりが低下した。さらなる測定精度向上によって歩留まりが向上すると考えられる。
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