最終年度は、健康文化の指標を共同研究機関である病院にて測定した。健康文化はプレゼンティーイズムと有意な関連があり、プレゼンティーイズムが高いほど健康文化得点が高いことが検証された。健康リスクと健康文化との関連もあり、リスク該当数が多いほど健康文化得点は低く、特に心理的リスクとの関連が強かった。 研究機関全体を通して、健康的な職場文化の健康文化(Culture of Health)を測定する指標を開発することができた。健康文化の指標を用いた健康経営優良法人認定の有無による健康文化の醸成度の違いに関する研究により、健康経営優良法人認定の有無は、健康文化の評価指標20項目全てで有意な差があることが検証された。健康文化の指標を発展させ、健康文化の評価指標の活用方法の検討、尺度化の検討を行った。健康文化は、従業員視点での健康経営の深度の指標とも言える。 組織における健康文化の指標とアウトカム指標の探索を健康経営度調査のデータ分析により行った。組織における健康文化指標とアウトカム指標を見出すことはできたが、健康経営の健康文化指標で相関があった項目は多数あり、取り組んでいる企業は多くの項目に取り組んでおり、この項目に取り組んでいればよいという項目があるわけではなかった。一方で、健康文化指標の各取り組みにおいて相関の強い項目を見ると一歩踏み込んだ取り組み内容であることが示唆された。 今後、組織の健康文化と従業員視点の健康文化の醸成度を突合することで健康経営の深化を測る指標として活用することが有用である。
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