研究課題/領域番号 |
19K11253
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研究機関 | 神戸市看護大学 |
研究代表者 |
宇多 みどり 神戸市看護大学, 看護学部, 講師 (90552795)
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研究分担者 |
大瓦 直子 神戸市看護大学, 看護学部, 助教 (30836854) [辞退]
丸尾 智実 神戸市看護大学, 看護学部, 准教授 (70438240)
片倉 直子 神戸市看護大学, 看護学部, 教授 (60400818)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 在宅看護実践力 / 看護基礎教育 / 主体的学習方法 / アクティブ・ラーニング / 新卒訪問看護師 / 訪問看護 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、看護基礎教育において在宅看護実践力強化に向けた主体的学習方法の確立を目指すものである。主体的学習の確立により、批判的思考力や社会人基礎力の育成となり、看護基礎教育での在宅看護実践力を強化し、新卒看護師による訪問看護の人材育成をねらうところである。初年度の2019年は、地域・在宅ケアに携わる新卒訪問看護師を育むための課題と教育機関の役割について、新卒訪問看護師や訪問看護ステーションの管理者等による交流会から知見を得た。 2020年度は、アクティブ・ラーニングの実践文献から授業設計の示唆を得る目的で文献レビューを実施した。医中誌Web版およびCiNii論文検索において、過去5年間で「大学教育」、「アクティブ・ラーニング」のキーワードで検索された624件のうち原著論文115件を分析対象とした。結果、看護学部での実践報告が約50%と多く、医学部・薬学部・歯科医科学部が各約10%で、複数の学部での横断的な演習が約5%であった。教育方法として、チーム基盤型学習(TBL)が約20%と最も多く、次に問題解決型学習(PBL/PBLD)であった。多くが反転学習やジグソー学習を組み合わせて行っていた。学習管理システム(LMS)によるものは、3件のみであった。評価は、レポートなどの記述物や科目に合わせたピア評価・ルーブリック評価と様々であった。ARCSモデルや学習動機付け方略尺度MSLQ等を活用している文献も散見された。 得られた結果から示唆を得て、在宅看護概論での単元「地域包括ケアシステム」「多職種連携の在り方」、在宅看護論での「訪問看護過程」および在宅看護学実習でのオンライン教材の作成に取り掛かり、一部を実施した。教育方法は反転授業とジグソー学習、PBLの混合であり、実習では「動画による体験型シミュレーション」でLMS対応の教材となるよう工夫した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
在宅看護教育方法や教材開発において、単元「訪問看護過程」においては、教員に訪問動画を作成しPBLによるオンラインでの演習を行ったが、他の予定単元では、新型コロナウィルス感染症のまん延によりWeb授業へ変更となり、授業設計が間に合わなかった。今後、対面及びオンライン・LMSでも可能な授業設計が必要であり、動画等の教材を活用したプログラムの再構築の必要性がある。既に、DVDまたは訪問看護の臨床現場のビデオ撮影においては、シナリオを作成し撮影クルーと調整を行っているが、感染症予防対策の観点からチームでの教材作成の環境が未だに持てていないのが現状であるため。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策について、以下のように実施する。 ①文献レビューから、自律的学習の教育的効果に関する内容(批判的思考力や社会的人基礎力等)やグループワークなどの学習方法に関する認識等の内容を抽出し、評価項目(質問紙調査票)を作成する。②対面及びオンライン上でも可能な授業設計(教育方法や教材開発)に向けて検討する。ICT活用した教材開発は、新型コロナウィルス感染症の感染状況を鑑み、いつでも開始できるよう準備する。③授業担当教員は、アクティブ・ラーニング実践(臨機応変な学習方法)にむけて研修や看護教育セミナー等に参加し、研鑽する。④作成した教材で受講した学生から、その評価を受ける。 以上について同時進行できるよう計画し、研究が推進できるよう工夫する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度の研究到達目標「アクティブ・ラーニングの視点から在宅看護教育方法の検討」に至らなかったため、教材開発に関する費用(オンライン活用含む)、授業担当教員の教育方法習得に向けての研修や学会参加(2019~2020年新型コロナウィルス感染症のパンデミックにより中止された)するための費用として、次年度使用額を請求し、研究計画に基づき、以下のように使用する。 ①教材開発に関する費用として、視覚(DVDまたは訪問看護の臨床現場のビデオ撮影)教材を作成する。また、模擬療養者とその介護者を設定したシナリオ作成や高機能シミュレーターの活用時に必要な物品購入に充てる。教材開発においては、臨地実習指導者(研究協力者)の協力が不可欠であることから謝礼や交通費に充てる。②授業担当教員の教育方法習得に向けて、国内のシミュレーションセンターへの研修や米国のシミュレーション看護教育研修施設(ジョンズホプキンス大学)への参加費とする。なお、新型コロナウィルス感染症のパンデミックを鑑み方法を検討する。③その他、一部実施した授業においては、授業評価のためのデータ入力費用、授業協力者への謝礼、報告書作成、成果報告のための学会参加費等に充てる。
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