研究課題/領域番号 |
19K11254
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研究機関 | 高知県立大学 |
研究代表者 |
川本 美香 高知県立大学, 看護学部, 助教 (10633703)
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研究分担者 |
時長 美希 高知県立大学, 看護学部, 教授 (00163965)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | Place Attachment / 中山間地域 / 保健師 / 公衆衛生看護 / 高齢期 / 地域づくり |
研究実績の概要 |
本研究は、中山間地域で暮らす高齢期にある住民にみられるPlace Attachmentを記述により解明し、日本の保健師による地域づくり活動に生かすことを目的としている。2020年度は、1.調査地域における調査の継続および分析、2.研究成果の公表、に取り組んだ。1については、2019年度からの調査を継続した。2020年2月からの調査地域を含む県での感染症発生の動向をふまえ、ゲートキーパーおよび研究協力者と相談のうえ、データ収集手段の追加を決定し、調査を遂行した。2019年に明らかにした1)Place Attachmentがみられる地域の人々の生活を表す9つのテーマ(仮)の洗練化、2)住民のPlace Attachmentについて、100を超える(107-113)暫定的カテゴリ(R1の暫定的カテゴリを再検討)からカテゴリ生成へ共同研究者との検討を繰り返し、[地域の暮らし方に溶け込んだ時間を持てる日常が心地よい]等を見出した。また、調査手段の追加を行い、3)ゲートキーパーや関係者に対し、感染症状況下での対象地域の地域活動の状況について継続的に調査を行った。その結果、中山間地域に暮らす高齢期にある住民のPlace Attachmentの公衆衛生看護活動への活かし方について、保健師の地区活動への活用可能性に示唆を得た。この結果は、1.1)および2)の分析結果が洗練化後、現在得た示唆を改善し、研究報告書に掲載する予定である。2.については、2019年度前半に取り組んだ、Place Attachment概念に関する成果を公表した。 2020年度は感染症状況による影響を受けたが、可能な調査手段を調査地域に提案・相談して継続した。対象特性から、予定していた協力者へ一定時間以上の対面調査は実施しなかったが、健康危機管理の状況下での地域の姿に触れ、住民の地域との情緒的結びつきを深慮するに至った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
感染症状況下で、当初予定していた手段での調査の実施は、対象特性上選択できないものも生じたが、可能な手段を地域に提案して相談し、調査を継続した。共同研究者との追加手段によるデータが持つ限界性や可能性の協議、ゲートキーパーや関係者とのタイムリーな現地の情報共有およびデータ収集手段の相談、そして研究協力者の調査へのご理解とご協力をいただき、さらに必要な機材を円滑に整備・活用できたことによって、遂行できたものと考える。また、次年度の活動を見据え、感染症状況に左右される可能性もあるが、地域への研究成果報告書について、どのようなものにするか、地域からも提案をいただけた。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、本年度得られたテーマ(案)をもとに、調査継続および分析の洗練化を繰り返し、完成させる。そして研究報告書をまとめ、地域および保健機関にお渡しできるよう進める。また、研究論文作成に取り組み2022年度の公表を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響で、成果公表予定の学術集会がオンライン開催になったことで旅費が生じなかったこと、対面調査を控えざるを得ず旅費が生じなかったこと、インタビューデータのボイスリライトを研究者が行ったことで、費用が抑えられたことによる。
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