研究課題/領域番号 |
19K11255
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研究機関 | 大分県立看護科学大学 |
研究代表者 |
秦 さと子 (小野さと子) 大分県立看護科学大学, 看護学部, 准教授 (10443897)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 唾液中サブスタンスP / 血液中サブスタンスP / 嚥下機能 |
研究実績の概要 |
2020年度は、2019度の結果を受け、対象の年齢層を拡大して、血液中サブスタンスP濃度、唾液中サブスタンスP濃度と嚥下反射潜時との関連を明らかにすることを目的に取り組んだ。研究結果は以下の通りである。 対象は、21歳~48歳の男女26名とした。昨年度の結果において唾液中および血液中サブスタンスP濃度は午前と午後で有意な差を認めなかったことから、調査は午前中に行った。唾液と血液を採取し、嚥下反射潜時を測定した。これらを用いて、唾液中サブスタンスP濃度、血液中サブスタンスP濃度、嚥下反射潜時との関連について分析を行った。 その結果、唾液中サブスタンスP濃度と嚥下反射潜時、血液中サブスタンスP濃度と嚥下反射潜時、それぞれの間には有意な中程度の負の相関を認めた。また、唾液中サブスタンスP濃度と血液中サブスタンスP濃度の間には有意な中程度の正の相関を認めた。これらのことから、唾液中サブスタンスP濃度と血液中サブスタンスP濃度が低い傾向にある場合は、嚥下反射潜時が延長している可能性が考えられ、唾液中サブスタンスP濃度と血液中サブスタンスP濃度は、嚥下反射惹起性を評価する指標になり得る可能性が示唆された。今後は、実際に嚥下機能障害の有無による唾液中サブスタンスP濃度、血液中サブスタンスP濃度の影響について検討し、血液中サブスタンスP濃度と唾液中サブスタンスP濃度がどの範囲の値を示すと異常の可能性があるかについての検討していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
COVID-19の影響で、当初予定の対象者数を大幅に削減し、高齢者も安全のため調査対象から除外するなどの計画の変更を行った。現状を鑑みて、研究計画を見直し、可能な範囲で、昨年度の結果に基づいて対象年齢層を拡大して調査を実施したこと、その結果、嚥下機能と唾液中・血中SP濃度の関連を示すことができたことから評価した。また、今年度の結果から、当初予定の2021年度の計画につなげることができた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、嚥下機能状態による唾液中・血中SP濃度の影響について検討する。ただし、COVID-19の影響で対象者を集めて調査を行うことが難し状況である。状況を確認しながら開始時期を検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19のため、調査対象を当初予定より大幅に削減し、最低限の人数を対象に実施した。そのため、消費期限のある、消耗品として計上していた血液や唾液採取用物品一式、ELISA kitなどは購入しなかった。同様の理由で、遠方への調査も控え、謝金や調査補助者雇用費も抑えられた。学会もオンラインとなり旅費や宿泊費を使用しなかった。次年度は、COVID-19の影響を考慮しながら研究を進める予定である。状況によっては、研究者がいろいろな場所へ出向いて調査する方法を、場所の移動や人との接触が最小限になるように調査施設等の職員などに研究協力者を依頼するなどの対応を考えている。そのため、検体保存に必要な物品や分析場所への運搬費用、人件費などが当初計画以上に必要となる可能性があり、2019年度に抑えられた分を充てる計画である。
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