研究課題
本研究は、行政による、健康づくりに関連した住民組織活動の育成・協働について、①どのような地域特性において、②どのような手法を用いることが、地域の健康に資するか、という実装戦略の基盤構築を試みる。研究では特に、エビデンスと現場のギャップを埋める学問領域「普及と実装科学」に着目する。研究対象地域はA市とし、2012年度より実施されてきた、92の小学校区単位の「健康まちづくり」事業に着目する。今年度は、令和3年度に実施した、健康まちづくり事業の関係者への質問票調査(住民自治協議会や民生委員等の地域関係者2,685人、および担当保健師やまちづくりセンター職員等の市の職員313人から回答)の結果のうち、職員の回答内容についての報告書を作成し、市のホームページで公表した。調査の結果、健康まちづくりについての考えを聞く9つの質問において、もっとも肯定的な回答を得たのが「校区住民の健康づくりに役立つ重要な取組である」の81.1%、次いで「小学校区という範囲は健康まちづくりに適している」の68.9%であるなど、健康まちづくり事業の重要性や適切性が確認された。また、自由記述などの結果から、校区のニーズや資源を踏まえた、さまざまな健康まちづくりの取組みが抽出された。そうした事例から、行政の立場から健康まちづくりを効果的に推進する戦略として、①健康まちづくりの意義を再確認する、②健康まちづくりの取組内容を再確認する、③健康づくりのニーズを再確認する、④職種ごとに持っている地域とのネットワークや関係性に着目する、⑤多職種で健康まちづくりに取組む、⑥地域への支援方法を再検討する、⑦わかりやすい手引きの作成や研修体制などを充実させる、⑧「校区健康カルテ」を活用する、⑨他校区の事例や意見を参考にする、⑩地域の強みを活かす、の10点を整理した。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (9件) (うち招待講演 4件)
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