研究課題/領域番号 |
19K11259
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研究機関 | 関東学院大学 |
研究代表者 |
内山 繁樹 関東学院大学, 看護学部, 准教授 (80369404)
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研究分担者 |
相澤 和美 国際医療福祉大学, 医療福祉学研究科, 特任教授 (40296520)
栗城 尚之 関東学院大学, 看護学部, 助教 (90786344) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | リカバリー / 心理教育 / 家族心理教育 / 統合失調症 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,当事者とその家族を共に支えるリカバリ-志向の心理教育のプログラムによる両者のパーソナル・リカバリーの変化を明らかにすることである。 1)研究デザイン:質的帰納的研究デザイン。2)対象者:地域で生活する統合失調症の当事者と同居している家族。3)プログラム形式:1クールを6回セッション,当事者と家族の混合グループ。プログラムは,標準版家族心理教育を中心とする教育セッション(60分)と対処技能・問題解決セッション(90分)から構成した。教育セッションは,「希望とリカバリー」「薬とのじょうずな付き合い方」「本人も家族も元気を保つために」他,計6つの内容の知識と情報を共有しあった。対処技能・問題解決セッションは,技能の選択肢を増やせるよう家族が抱えている困り事,対応策をクローズドで話し合った。4)調査内容:クール終了時に半構造化インタビューを当事者8名およびその家族24名に実施した。5)分析方法: K.Krippendorffの内容分析にて分析的構成概念と推論の相関性による意味的妥当性を図った。6)結果:当事者は28の推論と9の説明概念,家族は28の推論と8の説明概念を抽出した。7)考察:精神疾患 を経験した仲間同士の「つながり」,「気持ちの分かち合い」,「学び合い」から「共感力」が高まった。「苦労体験」,「弱さの肯定」の共有は,信頼関係を促進し,症状対処の経験,自身の助け方と疾病の知識や情報は,「疾病自己管理」を深めていた。家族は,家族同士の「つながり」と場の安全保障感は,心の支えと安らぎが得られ,「苦労体験」を「ありのままに受容」することができ,不安の軽減と気づきを促進していた。また本音の「語り合い」と「当事者の語り」は,語り場 のない両者において安心して気持ちを言葉にすることができ,各々の体験が腑に落ち,相互理解の促進が 「エンパワメント」を高めていた。
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