研究課題/領域番号 |
19K11274
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研究機関 | 宮城大学 |
研究代表者 |
小松 容子 宮城大学, 看護学群, 准教授 (80568048)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 精神障害者家族 / 統合失調症 / スティグマ / 克服 / レジリエンス / 家族心理教育 / プログラム |
研究実績の概要 |
本研究では,精神障害者の家族のレジリエンスを促進し,スティグマによって生じる苦悩・困難を乗り越えるためのプログラムの開発を目指している。 本研究の初年度(2019年度)では、精神障害者家族(主として統合失調症圏の方のご家族)への個別のインタビューを実施し,スティグマに関する経験について15名の語りを質的帰納的に分析することによって,精神障害者家族のスティグマに関する体験とスティグマへの対応についての構成概念を生成した。研究の2年目(2020年度)では,明確化した精神障害者家族のスティグマについての体験およびスティグマへの対応についての構成概念の検証を行った。全国の精神障害者家族を対象にした無記名自記式調査を実施し,有効回答数392件のデータを基に探索的因子分析を行った。この結果,スティグマに関する体験として3つの構成要素が抽出され,スティグマへの対応でも3つの構成要素が抽出された。 研究3年目(2021年度)では,探索的因子分析によって抽出された全6つの構成要素とそれに基づく支援ニーズについて考察を行った。また,精神障害者家族がスティグマに対応するために必要なことについて文献検討を加えながら考察を進め,精神障害者家族のスティグマの克服を目指したプログラム試案を作成した。 研究4年目(2022年度)では,作成したプログラム案の改善と洗練化のために,さらなる文献検討と効果的なプログラムのコンテンツと提供方法等に関する考察を行った。また,国外(オーストラリア)でのスティグマ対応の取り組みについての視察と資料調査を行った。そして,家族心理教育を土台としつつ,トラウマインフォームドケア,集団精神療法,ピアサポートの要素を参考にした「精神障害者家族のレジリエンスを促進するスティグマ克服プログラム」草案を作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究において「精神障害者の家族のレジリエンスを促進し,スティグマによって生じる苦悩・困難を克服するためのプログラム」を開発する上では,臨床適用に向けた更なる改善が必要であるが,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大防止や感染予防対策による臨床への立ち入り制限等のために,臨床適用に向けたプログラム評価が未着手であり,研究の進捗状況は遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究事業の1年間延長を行い,この延長期間に,作成したプログラムが臨床で活用しうるプログラムであるかどうかの検証と評価を行い,プログラムの開発を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染予防のために、研究の遂行にあたって遠隔システムを用いて研究を実施した。また,医療機関への立ち入りが制限されていたために,旅費の支出等が殆どなく,次年度使用額が生じた。 次年度は,本研究の目的であるプログラムの開発を目指して,医療機関へ赴き,専門家からの意見聴取を行い,また作成したプログラムの公表のために資料冊子の印刷,各関係機関への冊子の郵送等に,充当していく予定である。
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