研究課題/領域番号 |
19K11287
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
三宅 眞理 関西医科大学, 医学部, 講師 (50434832)
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研究分担者 |
西山 利正 関西医科大学, 医学部, 教授 (10192254)
甲田 勝康 関西医科大学, 医学部, 教授 (60273182)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 高齢者 / フレイル / MCI / 介護予防 / 食事療法 / 運動療法 / 自立支援 / ICT |
研究実績の概要 |
研究の目的:これまでに、身体面のフレイルの予防には有酸素運動やレジスタンス運動の有効性が報告されている。また、低栄養はフレイルを悪化させる要因の一つと考えられているが『食事』は単なる栄養状態の改善だけでなく、精神的健康感などの心理的側面に大きく影響する。集団での食事会や食品を提供する食事介入を行ったフレイルへの影響についての科学的根拠の高い研究はない。食事会では「集いの場において皆で食べることで“食事を楽しい時間”に感じてもらい食事に対する意欲向上を図る」「食べる楽しみ」に向けた環境を提供する。また、自宅食(内食)では「自分で食事を楽しむ」「食の自立期を延長する工夫(加工食品の活用)」を目的とした食品の提供を行う。これらの『食事』に着目し食行動が高齢者の心身の健康におよぼす影響について検討する。
現況:デイサービス「運動機能回復教室」に通うフレイル状態と判断される高齢者(65歳以上)を対象者とし、無作為にA群とB群に割付ける。3ヵ月間、A群にはの運動教室+タンパク質を含む食事を行い、B群は食事介入をしない運動教室を行う。食事の介入は週2回の食事会と自宅食(内食)のための食材提供とする。本研究では施設の管理栄養士が対象者の個別の推定エネルギー必要量の算出を行うとともに、食事記録調査をICTを用いて観察し栄養摂取量及びタンパク質量の管理を行う。提供するタンパク質量は一日25 gを週6日、日曜日を調整日とし、期間は3カ月間とする。
各期間の前後に健康チェックと称して、1)対象者の背景、2)フレイルチェック、3)自己効力感質問票、4)食事調査、5)認知機能テスト、6)運動能力テスト、7)体組成評価、8)尿検査、9)血液生化学的検査、10)食行動調査を実施するを実施する。現在、対象者の選別の準備を行っている。しかしながら、新型コロナウィルス感染予防対策のため現在、休止している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「ICTを用いたフレイルとMCI予防プログラムの開発」が課題である。現在、当該大学の研究倫理審査会の審査中である。本研究では高齢者を対象とした食事介入プログラムを実施する予定である。それに応じて、研究依頼のタイトルを「高齢者の心身の健康に食事提供がおよぼす影響についての研究」とし、参加者に同意書を取る手配を進めている。しかしながら、本年2月より新型コロナ感染症が発生し現在、感染拡大予防対策として当該施設への出入りを控えている。施設担当者は研究対象者の参加状況などのリストを作っているが、今しばらく実施を見合わせ9月には実施する予定である。施設の立ち入り許可がでしだい、調査を開始する予定である。
申請時には測定項目に全身型DXA法測定装置搭載車両を用いて骨密度、体組成や筋肉量を測定する予定であったが血液検査費用が高額なため身体組成評価を簡易なものにして、新たな血液マーカーから評価する。認知機能低下(アミロイドbクリアランス):ApoA1・C3加齢に伴い血液で増加する筋肉の老化に関わる因子:C1q・IL-6・TNF-a から評価する。
ICTの活用としては、高齢者が簡易に食事の記録できるように、デジタルカメラによる食事撮影から栄養の評価を行う。また、手書き記録を読み込む機能と集計を簡便に行えるコードの読み込み型を作成している。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナ感染症対策下において、ソーシャルディスタンスを求められている。買い物や外食などの制限が行われ、ひとり暮らし世帯や高齢者の食生活の管理が課題である。一方、介護保険サービスの自粛もあり高齢者の運動機会が減少し悪影響を及ぼしていることが予想される。本研究に用いる食事の提供は日本ハム株式会社グループ営業企画部より無償提供される。したがって、本研究の強みは食品会社との連携を行う事で、高齢者やひとり暮らし高齢者に具体的な商品を安全に届けて管理することにある。食事の提供と尿検査・血液生化学検査・運動機能・認知機能から、高齢期に必要なサービスのあり方について多くに視点から検討する予定である。 しかしながら、新型コロナ感染症が収束するまで、油断はできない。新型コロナ感染対策を万全に行い、高齢者の健康を損なうことなく関係者と連携して、研究を推進する予定である。本研究の開始が新たな課題解決となるように努力したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究当初は、地域の高齢者が利用するスーパーや市場などで食事(たんぱく質摂取メニュー)と運動指導を行うフレイルとMCI予防教室を開催する予定で、さらに全身型DXA法測定装置搭載車両を用いて骨密度、体組成、筋肉量、血液検査から介入前後の調査を行う事を計画していた。しかし、1年間検討した結果、地域に暮らす一般高齢者に対する管理が困難であること、全身型DXA法測定装置搭載車両と人件費の費用対効果が少ないことから、2年目にリハビリ教室に通う高齢者を対象にして、簡易体組成計を用いての測定に変更した。また、新たな血液マーカーを使って筋肉増加と認知機能の評価ができる知見を得たので、その血液マーカーを使用とする分析費用が増加するため、初年度に予定していた金額を変更して、計画の変更に伴う使用額を変更した。
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