研究課題/領域番号 |
19K11287
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
三宅 眞理 関西医科大学, 医学部, 講師 (50434832)
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研究分担者 |
西山 利正 関西医科大学, 医学部, 教授 (10192254)
甲田 勝康 関西医科大学, 医学部, 教授 (60273182)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 高齢者 / 健康増進 / 高齢者リハビリセンター / 自立支援 / 高齢者ネットワーク / ICT / MIC(軽度認知症予防) / 地域包括支援センター |
研究実績の概要 |
生涯健康で健康寿命を延伸することが多くの人の希望である.高齢者の健康を可視化するICTを用いた健康増進プログラムは健康行動を促進し,健康状態を把握するとともに,情報共有ができることから社会的支援がより身近なものとなる.介護予防の段階から高齢者の生活ニーズを把握することで将来の介護予防と同時に介護サービスの質の低下を予防する.超高齢社会における地域づくりを支援するプログラム開発と高齢者の健康管理から本プログラムの効果について検証するものである.COVID-19の予防のため対面交流を回避して計画を一部変更した.(変更→) Ⅰ.コンテンツとアプリ制作(R1年4月~R2年3月) 1.生活健康調査(運動・栄養・睡眠・気分)ストレスチェックと健康チェックが可能なアプリを利用し、双方向通信とフィードバック機能を用いて高齢者自身が可視化できる簡素化した健康行動を支援するコンテンツを作成する.→食事状況,栄養調査,口腔機能,支援者と高齢者に必要なコンテンツを見直した. Ⅱ.DXA法による体組成と血液検査 1.「食事と運動でフレイル予防教室」の開催 2.アプリ配信と毎月1回のICT調査 自記式調査票の併用(R2年4月~R3年3月)地域の高齢者が利用するスーパーや市場などで食事(タンパク質摂取メニュー)と運動指導の実施するフレイルとMCI予防教室を開催する.→DXA法による体組成をインピーダンス法に変更,一般ではなく特定の高齢者を対象者とした.リハビリセンターの利用者に対して,食事の提供と運動の介入調査,栄養、自己効力感など自記式調査票の併用を行っている.自立高齢者より介護度が上がるため,施設協力のもと安全に運動と食事提供のために理学療法士による運動指導,運動能力テスト,認知機能検査を行った.会食が禁止のため,週2回の宅配サービスとタンパク質(1日70g以下)を含む商品を提供して調査を行っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
地域包括支援センターが開催する集いの場,スーパーや市場などでの展開を予定していたが,COVID-19の感染症予防のため対面が困難であったため『短時間型デイサービス』(運動型リハビリセンター)に通うフレイル状態と判断される高齢者(65歳以上)を対象者とした.在籍数300名に対してタンパク質を含む食事支援研究の参加者を募り36名の参加者を得た.実施期間は3ヵ月間で5月末に介入結果が報告できる予定である.高齢者を対象とするため、骨折、腰椎手術、股関節手術、COVID-19の陽性など4名が中断していたが現在35名が継続している.本来は食事会の開催などの交流がもたらす活動の活性を視野に入れていたが行動制限に伴う会食の禁止により,週2回のお弁当とたんぱく質を提供している。提供するタンパク質量は一日25 gを週5日、土、日曜日を調整日とした.健康チェックでは1)対象者の背景,2)フレイルチェック,3)自己効力感質問票,4)食事調査,5)認知機能テスト,6)運動能力テスト,7)体組成評価,8)尿検査,9)血液生化学的検査,10)食行動調査を実施した. アンケート調査の結果,102名の回答を得た.血液生化学的検査には38名が参加したが骨粗しょう症28名で7割を占めていた。9名の栄養状態が良く,タンパク質(アルブミン欠如)の摂取が望ましいのは6名,減塩が必要なものは3名,栄養過多は1名であった.今後は1-メチルヒスチジン,L-ヒスチジン,3-メチルヒスチジン,アンセリン,カルノシンなどの筋肉成分となる血液生化学的な分析を行い,さらに認知機能低下を評価する新たな血液マーカー、アミロイドbクリアランスに関わるApoA1,C3と炎症マーカーC1q,IL-6,TNF-aの分析を行う予定である.
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今後の研究の推進方策 |
高齢者の栄養状況について DHQ(自記式食事歴法質問票:self-administered diet history questionnaire)を用いて食品の摂取状態を定量的に調べている.さらに,FFQ(Food Frequency Questionnaire)の短縮版を用いて普段の食事状況および栄養摂取状況のアンケート調査から把握している.この2つの調査票と血液生化学的検査などから,高齢期の栄養摂取と食品について検討する. 高齢者の健康行動と社会的支援の評価について(R3年4月~9月) 高齢者の介護予防支援プログラムとして住居環境や老後計画についての情報提供や高齢者の希望に応じた生活,医療,介護,暮らし,支援状況を把握する.それらのフィードバック機能を実装し,超高齢社会における地域づくりを支援するプログラム開発を目的としている.そのため,本プログラムの管理には地域や介護施設職員などの協力を得ることが必要である.これまでに研究協力を得ている地域包括支援センターや介護施設職員との連携で行うため,社会支援提供者(地域包括ケア職員・運動指導者・管理栄養士・サービス提供者など)の同意・協力や社会的コンセンサスを必要とする.さらに,高齢者の研究参加を求めることから相手方の同意等を得たうえで研究計画を実施する予定である. 現在,参加者に対して紙面でのアンケート調査を行っているが令和3年度から地域包括と連携した管理画面を活用し,地域包括のシステムと高齢者の持つデバイスの連携から介護予防と社会支援の適正について評価する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
「食事と運動でフレイル予防教室」の開催を地域包括が行っている介護予防と連携をして実施するとともにDXA法による体組成と筋肉量,血液検査の介入前後の調査を行う予定であったが,COVID-19の感染症予防のため対面での教室の開催が不可能であった. 令和3年度は高齢者の健康行動と社会的支援の評価を行うために健康行動の管理画面からICTの使用状況をフィードバックする.地域包括と連携した管理画面を活用し,地域包括のシステムと高齢者の持つデバイスの連携から介護予防と社会支援の適正について評価する.そのために高齢者が使いやすいデバイスとネットワークセンターの働きを持つPCの設置とWi-Fiの貸し出しを行うため使用金額に変更が生じた.
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