研究課題/領域番号 |
19K11302
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研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
城本 修 県立広島大学, 保健福祉学部(三原キャンパス), 教授 (00290544)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 音声疲労 / 学校教員 / ケプストラム分析 / 音声疲労質問紙(VFI) / 音響分析 |
研究実績の概要 |
昨年度は,学校教員の音声障害予防システム構築のために,音声疲労の自覚的評価用紙を作成し,その妥当性や信頼性を検証した. 今年度は,学校教員の音声疲労の実態調査をこの質問紙を用いて行う予定であったが,新型コロナウィルスの影響で行えず,客観的評価としての音声の音響分析の開発にあてた. これまでの音響分析は,母音のみの基本周波数抽出に依存した分析であった.したがって,基本周波数の抽出精度が劣る嗄声の分析には向かないとされていた.そこで,今回は基本周波数の抽出精度によらないケプストラム分析を用いることにした.その結果,母音のみでなく短い日本語文や一定の音読文の解析が可能となった.しかし,日本語文に使われる音韻の種類や文の長さなどの影響も想定された.そこで,ケプストラム分析に適した日本語文の妥当性や再現性について検証することにした. 研究話者は,健常若年成人男女各30例で,2日間で計4回,持続母音/a/,/i/と試作した種類の異なる日本語文6文をランダム順に音読してもらい,デジタル録音した.録音された音声をADSVプログラムを用いて,ケプストラム/スペクトル分析を3名の検者が実施した. その結果,持続母音,各課題文におけるケプストラム測定値は,高い検者内および検者間信頼性を示した.また,各測定値は全4試行間でも同一検者による高い再現性を示した.さらに,持続母音と各課題文における各測定値平均は,母音の種類や課題文の種類によって有意差が認められ,さらに発話者の性差による差異も認められた.これらの結果から,試作した日本語課題文の有用性が高いことが示された.さらに課題文の種類や発話者の性差による各スペクトラム指標およびケプストラム指標の差異が認められた.今後は,これらの課題文の種類や発話者の性差による差異が,高齢健常者や音声障害者においても同様に認められるか検討することが望まれる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に作成した音声疲労質問紙(VFI)を使った学校教員の実態調査が行えず,音声疲労の客観的評価方法として,音響分析を検討した. 嗄声の音響分析には,基本周波数解析を中心とした分析と基本周波数の抽出精度に依存しないケプストラム分析があり,今回は文章音読や自発話の解析が可能なケプストラム分析を検討することとした.その結果,ケプストラム分析の再現性や信頼性が高いことが示唆された.ただし,朗読文章の長さや文章に含まれる音韻数や種類の影響も受けることが予想され,分析に適した朗読文章の検討を行った.すでに投稿掲載されたように,6つの朗読文章の妥当性と再現性が確認された.今後は,この文章をもとに音声疲労を訴える学校教員の朗読音声の分析や音声疲労質問紙との関係を検討する予定である.
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今後の研究の推進方策 |
今年度も,新型コロナウィルスの影響で対面での実験や音声録音は難しいことが予想される.したがって,今年度は,TeamsやGoogleなどオンラインによる調査研究を進めたいと思っている.加えて,ケプストラム分析を音声コンソーシアムにある300名近い健常者の朗読音声に適用し,我々の検討した朗読音声用文章とケプストラムパラメータを比較検討したいと考えている
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの影響で,対面での実験が実施できず,被験者への謝金が発生しなかった.さらに学会がオンライン開催などになり,旅費の執行額もかなり少なくなった.
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