研究課題/領域番号 |
19K11311
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研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
加賀谷 斉 藤田医科大学, 医学部, 教授 (40282181)
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研究分担者 |
青柳 陽一郎 藤田医科大学, 医学部, 准教授 (30286661)
稲本 陽子 藤田医科大学, 保健学研究科, 教授 (70612547)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 摂食嚥下障害 / 舌骨上筋 / 磁気刺激 |
研究実績の概要 |
正常嚥下では嚥下反射中に舌骨と喉頭が十分に前上方に挙上し喉頭蓋が倒れ込むことで喉頭を閉鎖し,同時に食道入口部が開大して食塊が咽頭から食道へと送り込まれる.摂食嚥下障害患者では,舌骨挙上障害と食道入口部開大不全が生じやすい.われわれは,舌骨上筋磁気刺激により安静時に舌骨の十分な挙上を得ることに成功している.嚥下反射の生じるタイミングに同期させて舌骨上筋磁気刺激を行うことが可能になれば舌骨挙上障害を持つ摂食嚥下障害患者に有用と考えられる.そこで,特定臨床研究としてjRCTに登録公表後,研究協力に同意し署名が得られた健常成人20名に対して嚥下反射中の舌骨周囲筋の動作筋電図を計測し二乗平均平方根(RMS)を求め,筋電図がRMSの閾値を超えたときにそれをトリガーとして磁気刺激が入るような回路を組み,嚥下反射と磁気刺激の同期性を確認した.さらに,20名中6名については磁気刺激中の食道入口部圧を高解像度マノメトリーを用いて計測した.その結果,嚥下反射に同期させて磁気刺激を行うことが可能であり,磁気刺激を併用することで嚥下反射時間,食道入口部開大幅の増加を得ることができ,食道入口部最大開大時には舌骨はより前方に位置していた.高解像度マノメトリーでは,嚥下終了後の食道入口部圧の低下がみられた.以上から,嚥下反射中に磁気刺激を同期させることは,舌骨挙上障害と食道入口部開大不全に対して効果があると考えられた.今後は,摂食嚥下障害患者に対して嚥下反射中の磁気刺激の同期を試みる予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画の通りに健常人を対象にして嚥下反射時に磁気刺激を同期させる回路を作成することができ,実際に嚥下反射と舌骨上筋磁気刺激の同期性を確認した.また,舌骨の動きと食道入口部圧を磁気刺激併用の有無で比較できた.
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今後の研究の推進方策 |
研究計画は順調に進展しているため,2020年度は予定通りに摂食嚥下障害患者を対象に,嚥下反射時に磁気刺激を同期させる回路を使用してその同期性の確認と,同期させたことによる効果について研究を進める予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究を進めると同時に磁気刺激に用いる専用コイルや嚥下反射時に磁気刺激を同期させる回路の改良にも取り組んでいるため,それらの費用として使用予定である.
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