研究課題
今年度は、前年度までの健常者データの結果を基にもやもや病患者を対象にトレーニングの効果を行動学的変化より検証し、またその結果に基づいて実施した脳機能評価としてのresting-state fMRIおよび脳構造評価としてのdiffusion imagingを用いて脳の可塑的変化を評価した。5例の症例をリクルートしたが、最終的にはトレーニングを完遂した4例を採用した。行動学的評価からは4例共に課題特異的な効果だけでなく、課題とは別の注意、ワーキングメモリの評価および他の認知機能評価の改善(トランスファー効果)が確認された。また4症例に共通して、健常者と同様に、トレーニング前後で注意、ワーキングメモリに関連する大脳皮質領域に構造的変化が確認された。期間全体を通して、もやもや病患者における自主トレーニングプログラムとしてのコンピュターを用いた注意・ワーキングメモリトレーニングの有用性を検討した。研究の流れとして、認知機能トレーニングプログラムの開発、健常者におけるトレーニング効果の検証、もやもや病患者におけるトレーニング効果の検証を行ってきた。結果、健常者、もやもや病患者に共通して認知機能におけるトレーニングのトランスファー効果が確認され、またトレーニング由来の前頭、頭頂皮質領域を中心とする領域に機能的、構造的可塑性が生じる可能性が示唆された。本研究結果は、前頭葉機能の低下を中心としたもやもや病患者への認知機能トレーニングの有効性を示すものであり、個別診療時間外で自己管理で実施できる導入簡便性からも臨床への応用可能性が期待できるものと考えられた。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件)
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