研究課題/領域番号 |
19K11325
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
大柳 俊夫 札幌医科大学, 医療人育成センター, 准教授 (70177020)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 複合現実 / 注意機能 / HoloLens2 |
研究実績の概要 |
本研究は、複合現実技術とマイクロソフト社のHoloLensを利用して、高齢者や患者の日常生活に近い環境下で注意機能評価と訓練を行うための新しいアプリケーションを研究開発し、実証試験を行って注意機能評価のための基準値等を明確にするとともに、注意機能評価・訓練としての開発アプリの有効性を検証するものである。本年度の実績は以下の通りである。 (1)HoloLens用モグラたたきゲーム開発:マイクロソフト社の複合現実技術を利用できるHoloLens用に、これまでの我々の研究成果から有効性が示唆されているモグラたたきゲームを開発し予備実験を行った。この結果、HoloLensの視野の狭さ、新しいユーザインタフェース(頭を動かすことによる注視、エアータップなど)の難しさ、の問題がが確認された。そしてこれらの結果を、Society for Computers in Psychologyの年会で発表した。 (2)HoloLens2の調査:HoloLensの後継機であるHoloLens2(2019年2月に発表)に関する情報収集を本研究課題の採択通知以前から行っており、本研究課題の採択通知後に購入予約の手続きを行った。HoloLens2は、HoloLensの2倍の視野があり、またユーザインタフェースとして視線の追従、10本の指の利用などが可能となっており、HoloLensで明らかとなった問題がHoloLens2では解決されることが期待される。しかしながら入手困難なため(発売は2019年11月7日で供給不足のため2020年3月末時点でまだ入手できていない状況)、エミュレータを利用する開発環境を整備し、HoloLensで開発したアプリケーションのHoloLens2への移行を含む、HoloLens2用アプリケーション開発方法に関する調査を継続して行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
利用する機器(マイクロソフト社製HoloLens2)の納入の遅れのため、開発するアプリの実機での試験が行えない状況にある。既存のHoloLensと後継機のHoloLens2では視野の広さやユーザインタフェースに違いが大きく、高齢者や注意機能に問題のある患者を対象とする本研究ではHoloLens2を利用する方が良いと判断している。
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今後の研究の推進方策 |
現在の新型コロナウイルスの世界的な感染状況を考えると、HoloLens2の納入時期は大きく遅れる可能性があり、またHoloLens2を入手した後でも高齢者ならびに注意障害の所見がみられる患者を被験者とした実験を行うことは困難が予想される。このような状況で本研究を推進するために、HoloLens2入手後すぐに実機テストを行うためにエミュレータを活用したアプリケーション開発の継続、大学の倫理委員会へ提出する研究計画書の準備を進める。またHoloLens2が入手できなかった場合への対応として、HoloLensの利用の可能性についてこれまで得られた結果から再検討し、HoloLensを利用するための訓練プログラムの開発も行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究課題では、マイクロソフト社製のHoloLens2を利用する計画であり採択通知後に購入予約したが、2019年12月5日に「HoloLens2の供給について」という文書が届き、供給不足であるとのことであった。このためHoloLens2を2019年度末までに購入ができなかったため物品費の大部分を執行することができなかった。またHoloLens2がないために実験が行えず、人件費、謝金の支出も行えなかった。 HoloLens2が購入可能になり次第購入して研究を進める計画である。
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