研究課題/領域番号 |
19K11325
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
大柳 俊夫 札幌医科大学, 医療人育成センター, 准教授 (70177020)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 複合現実 / 注意機能 / 片付け課題 / HoloLens2 |
研究実績の概要 |
本研究は、複合現実技術を利用して、高齢者や患者の日常生活に近い環境下で注意機能評価と訓練を行うための新しいアプリケー ションを研究開発し、実証試験を行って注意機能評価のための基準値等を明確にするとともに、注意機能評価・訓練としての開発したアプリケーションの有効性を検証するものである。本年度の実績は以下の通りである。 (1)新しい課題の設計:申請者らは、注意機能の評価方法として独自の「片付け課題」を開発した方法を開発し実証試験を行った実績がある。この課題は、物品操作に伴い視覚刺激が変化するもので、物を探す、物を移動させる、全体の見通しを立てる、などの一連の活動で注意を能動的に向ける必要がある課題である。この片付け課題を使った研究成果として、注意機能の机上検査であるTrail Making Testや線分抹消課題よりも高い感度で患者の注意機能障害を検出できることを明らかにした。そこでこの課題内容をHoloLens2で実行することを前提として修正し、机上の片付け課題では困難であった難易度を動的に変更してゲーム感覚で遂行可能な新しい片付け課題を検討し設計した。 (2)アプリケーション開発:HoloLens2を含む複合現実技術の進歩はめざましく、アプリケーション開発環境が発展途上にある。このため、これまで開発したモグラたたきゲーム、眼球運動トレーニングゲームを新しい環境で実行できるように修正するとともにユーザインタフェースの改善のための研究開発と試験を継続して行っている。また、(1)で設計した片付け課題のプロトタイプを実装し、難易度に関して設計当初と実際にホログラムを操作した場合を比較検討し、課題内容の修正を含む研究開発と試験を継続している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍の影響で当初予定していた高齢者を被験者とする実験が困難な状況となり、この対策として被験者を若年者とすることにした。この場合、容易すぎる課題とならないように難易度を変更可能な課題を検討し設計し開発に着手した。このため、HoloLens2の実機での試験を計画通りに進めることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後コロナ禍の状況がどうなるかは予測できないが、対象者の家庭での実験は困難と判断し、大学内の実習設備内で実施できる実験に方針を転換した。今後この方針に沿ってアプリケーションの開発と試験を継続し、大学の倫理委員会へ提出する研究計画書を作成して承認申請を行う。そして承認後、開発したアプリケーションを利用したデータ収集を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のため研究自体が大きく遅延し、実験を行うことができなかったため人件費、謝金の支出がなかった。また公表可能な成果が上がっていないため学会等での成果発表が行えなく旅費や学会参加費の支出が当初予定よりも少なかった。今年度は、アプリケーション開発後に実験を行い、その結果をまとめて研究成果を発表する計画であり、そのための経費に使用する予定である。
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