研究課題/領域番号 |
19K11329
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研究機関 | 高崎健康福祉大学 |
研究代表者 |
竹内 伸行 高崎健康福祉大学, 保健医療学部, 教授 (20587076)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 半導体レーザー / 疼痛 / 時間的加重 |
研究実績の概要 |
令和3年度は、それ以前(令和2年度まで)に得た測定データの一部に関する学会発表および論文発表を行った。10W半導体レーザーのパルス照射により、圧痛閾値が上昇し機械的刺激に基づく疼痛の緩和作用を発揮するが、中枢性疼痛修飾系の一つである時間的加重現象には影響しないことを主に報告した。本研究課題では、圧痛測定部位(疼痛部位)がレーザー照射部位であるため、局所の疼痛に対して当該部位にレーザーを照射することによる効果が得られると示唆された。一方で、二次感覚ニューロンの興奮性を反映するとされる時間的加重現象はレーザー照射前後で変化がなかったことから、本研究の照射条件では疼痛部位へレーザーを照射しても二次感覚ニューロンの興奮性には影響しないことが明らかになり、これらについて学会発表し、論文を投稿することができた。 また、令和3年度は令和2年度から継続的に、10W半導体レーザーを生体に照射した際の、光線の散乱について近赤外画像および光パワーメーターを用いて検討した。生体内では照射されたレーザー光は同心円状に散乱するが、その様子が近赤外画像で確認することができた。加えて、照射部位から離れた部位における散乱光強度を計測することができた。これらは、10W半導体レーザーに加えて、より低出力な100mW前後のレーザー治療器でも検討中であり、今後は両者の測定データから、出力や照射条件の違いによる生体内におけるレーザー光の散乱について検討していく予定である。さらに、令和3年度は上記に加えて、疼痛部位とは離れた部位にレーザー照射を行った際に疼痛緩和が期待できるか否かの検討を開始し、一部の研究成果は学会発表を行うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和2年度までに検討してきた、電流刺激を用いたAβ求心性神経とAδ求心性神経に対する効果に加えて、令和3年度は機械的刺激による圧痛に対するレーザー照射の効果を検討することができた。さらに生体内におけるレーザー光の散乱の状況や照射部位から離れた部位の光線の強度の計測を行い、基礎研究的な視点でも検討することができた。加えて、疼痛部位と異なる部位へのレーザー照射による疼痛緩和作用の検討を継続している。これらの理由により、本研究課題としては順調に進行していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度は、現在進行中である疼痛部位とは異なる部位へのレーザー照射による疼痛緩和作用の検討を進めていく予定である。これは10W半導体レーザーに加えて、出力が100mW前後の、より低出力なレーザー治療器でも同様の検討を行いたい。前者は高出力であるが光線の密度は低いという特徴があり、後者は出力は低いものの光の密度が高い特徴を有する。このためこれらのレーザー治療器が生体に与える影響(疼痛緩和作用やメカニズムなど)は異なる可能性も考えられる。今回の結果から、臨床場面における疼痛治療への応用も期待できると考える。また、令和以4年度はこれまで得た研究成果について学会発表や論文発表を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度は、新型コロナウィルスの影響により、当初参加を予定していた学会等が中止あるいはオンライン開催となった。このため、学会参加に伴う旅費および宿泊費の支出が0円となった。加えて、本研究課題は主に医療施設で実施しているため、新型コロナウィルスの感染対策として、研究実施に一部遅れが生じた(全体としては概ね順調であると考えている)。これらの理由により、次年度使用額が生じたものである。次年度使用額については、今後、開催される学会に参加するための費用や論文投稿に関する費用として使用予定である。
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