10W半導体パルスレーザーによる疼痛緩和作用と、疼痛緩和を生じる機序に関する基礎的検討を行ってきた。レーザー照射によって、機械的刺激による圧痛閾値、電気的刺激による電流痛覚閾値、慢性疼痛の一要因といわれる時間的加重現象などに対する抑制性の効果を認めた一方で、通常の(侵害受容性神経活動ではない)知覚には影響しないことが明らかになった。また、これまではいわゆる低出力レーザーは組織に対する温熱作用は無いといわれていたが、本研究課題の検討結果から、10W半導体レーザーには深部組織に対する温熱作用があることが確認できた。深部温熱作用による局所循環改善などは、疼痛抑制機序の一つであることが示唆された。
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