研究課題/領域番号 |
19K11333
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研究機関 | 新潟医療福祉大学 |
研究代表者 |
塙 晴雄 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 教授 (40282983)
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研究分担者 |
藤井 豊 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 講師 (20589303)
山本 智章 新潟医療福祉大学, その他部局等, ロコモティブ症候群予防研究センター副センター長 (30445902)
越中 敬一 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 准教授 (30468037)
大森 豪 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 教授 (70283009)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | マイオネクチン / エリスロフェロン / ヘプシジン / 鉄代謝 / 運動 / サルコペニア / 心不全 / 貧血 |
研究実績の概要 |
鉄代謝はマスター遺伝子であるhepcidinの発見によって、貧血やヘモクロマトーシスだけでなく様々な臓器傷害にも関わっていることが明らかになった。また、骨髄や骨格筋から分泌されるmyonectin/erythroferroneは、hepcidinを抑制し、脂質代謝や心疾患の改善、造血時の鉄供給に関わる事がわかってきた。前年の本研究により、サルコペニアを呈する重症心筋炎心筋症ラットモデルの骨格筋である半膜様筋でmyonectin/erythroferroneの発現が有意に低下していることが見られていたが、強制回転かごを用いた13日間10m/分、毎日30分間運動させた複数のラットの半膜様筋、腓腹筋、ヒラメ筋のmyonectin/erythroferroneの発現が有意に増加していることがわかった。運動したラットでは、心臓で有意なhepcidinの発現低下が見られ、肝臓でもhepcidinの発現低下傾向がみられ、運動によるmyonectin/erythroferroneの発現増加が、ヘプシジンの発現低下に関わる可能性が考えられた。さらに、myonectin/erythroferrone発現プラスミドベクターを作成し、ハイドロダイナミクス法で遺伝子導入したところ、1日後に心臓、骨格筋、特に肝臓でのmyonectin/erythroferrone発現亢進が見られ、肝臓でのhepcidinの遺伝子発現は有意に低下していた。このことから、骨格筋のmyonectin/erythroferroneの発現は、筋肉の萎縮で低下、運動で亢進し、myonectin/erythroferroneの発現亢進によって、心臓や肝臓でのhepcidinの発現が低下する可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
myonectin/erythroferroneの血中濃度を見るために、マウス/ラット用の市販のELISA KITを購入し測定してみたが、ラットの血清では測定できない状況である。また、ハイドロダイナミクス法による遺伝子導入で肝臓などでの目的遺伝子の発現増強は見られているが、他の要因、例えば大量のリンゲル液の静脈注射による影響もあると考えられ、単純なmyonectin/erythroferroneの発現増強以外の要因を考えて考察していく必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
hepcidinの血中濃度を調べることによって、myonectin/erythroferroneが与える全身的なhepcidin産生に対する影響を調べる。また大量のリンゲル液の静脈注射による鉄代謝の影響の機序を調べるために、想定される、虚血、低酸素条件でのmyonectin/erythroferroneやhepcidinの変化を検討し、併せて大量リンゲル液静脈注射の影響が軽減した頃の遺伝子導入3日後のラットを調べていく。また、アスリートの血中の鉄動態、myonectin/erythroferrone、hepcidinの濃度を測定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
ハイドロダイナミクス法での遺伝子導入において、鉄代謝に影響を及ぼすその他の要因を検討する必要が生じたため、それを明らかにするための動物実験に使用する予定である。
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