本研究を通じて,片側大腿切断者25名からなる大規模な歩行データを取得することができた.同データは2.0 km/hから5.5 km/の8段階速度で計測を行っており,個人属性も詳細に記録しているが,こうしたデータセットは非常に珍しく,今後,日本国内における下肢切断者の歩行リハビリテーションの標準値になると考えられる.また,一側肢への過負荷蓄積が二次障害を誘発する可能性を明らかにしたという点から,各個人にあった義足パーツの選定,衝撃緩衝材を利用した義足部品の開発,非切断側への医療ケアといった,臨床的にも重要な知見を創出できたと考えている.
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