研究課題/領域番号 |
19K11348
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
池内 秀隆 大分大学, 理工学部, 教授 (50264130)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 歩行訓練 / 床反力 / 視聴覚フィードバック / 歩行解析 / 被験者実験 / 力計測 |
研究実績の概要 |
(1)歩行訓練システムを用いたデータ収集 本年度は荷重訓練モードおよび荷重時間モード(上下ターゲットおよび円弧ターゲット)の計3例のデータを収集した。本研究開始前に2例(荷重時間モード落下ターゲットおよび荷重時間モード上下ターゲット)のデータ収集を実施していたので,トータル5例のデータを収集した。共同研究施設(別府リハビリテーションセンター)に入院・通院する患者から適切な被験者を選定するため,本研究のデータ収集に適した被験者(被験者の安全性,装置の期待される効果にあった症例等種々の条件をクリアした被験者)を選定することが困難で,目標を達成することはできなかったが,着実にデータを収集できており,システムの有効性を示すデータとなりうることが期待される。現状では,具体的な画面の改良などにつながるデータは得られていない。 (2)フォースプレートを置き換えるセンサの開発 ひずみゲージを用いたセンサについて,荷重の計測性能を引き出すための設計と性能試験を行い,試作を行った。センサとしての性能や設計についてある程度の見込みを得ることができたが,一部不十分な点があったので,検討をさらに継続する。センサの基本設計については,検討ができたので,必要な備品等は購入することができた。また,次年度すぐに検討可能とするため歩行路1台分の材料等は購入し,製作は完了した。 (3)下肢疾患者等の歩行動作解析 下肢疾患者と健常者での歩行開始動作に関して,3次元動作解析装置から得られるデータを用いて差異を検討したが,明確な差はえられなかった。引き続き,検討を重ね,本装置に応用できるデータを検討していく。また,フォースプレートから得られる情報のみで体重心を計算する手法を検討した結果について,国際会議で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実績に記述したように,施設に入院・通院する患者から適切な被験者を選定するため,思うように被験者を増やすことができず,目標の被験者数は達成できなかった。また,力センサの開発は計画通りに進めたが,結果に不十分な点があり,一部の検討をやり直すこととした。
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今後の研究の推進方策 |
目標①前年度の成果を元に改良した情報提示法・画面表示法を用いて,臨床試験を継続し,効果の検証を評価する。当初被験者は10名程度を目標としていたが,初年度の状況およびコロナ感染の拡大により,目標通りの被験者でデータを収集することは困難が予想される。特にコロナ感染の拡大では,現時点で,共同研究施設に立ち入れない状況が続いており,場合によっては全く研究を続けられない可能性もありうる。また,共同研究施設の事情により,現在一時的に装置を撤収しており,別施設に移動する予定である。これらの再設置の必要や新施設での被験者の選定,データ収集の実施については目途が立っていない状況である。鋭意努力のうえ,少なくとも6名程度の被験者によるデータ収集を実施したいが,状況は予断をゆるさない。 目標②力センサを組み込んだ歩行路について,その特性を計測し,歩行リハビリテーションに支障のないことを確認する。力センサの製作が遅れているので,これを加速させ,歩行路を作成する。必要に応じて改良を行い,望ましい特性が得られるように計2台の設計製作を行う。しかしながら,こちらも,コロナ感染拡大により,大学の研究施設を十分に利用できず,研究者も学生の教育や大学運営に関するコロナ対策を優先せざるを得ず,目標通りの達成は困難と考えられる。 目標③3次元動作解析装置を用いて,本システムの使用を前提とした下肢疾患患者の動作特性を計測し,下肢疾患の状態と床反力データ等との関係を明らかにする予定であったが,病院等施設における研究や被験者募集について困難が予想される。可能な範囲で成果が得られるよう努力する。 上記の経過および成果について,国内外の学会等で発表を行い,最新の情報を収集する。情報提示法などについては,良好なものは特許等の出願を検討する予定であったが,学会等は中止・延期になっているところも多く,可能な範囲で努力する。
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