研究課題
本研究では、定常刺激ではなく患者個人での最適歩行リズム(周波数)に合致させたパターン直流刺激(tACS)を脳に与えることで、歩行リズムの脳内ネットワークを人為的に制御し、歩行の脳内表現の空間的パターンを最適化することで歩行障害を正常化することを試みると同時に、介入による脳内ネットワーク変容をrs-fMRIやTMSの非侵襲的脳機能計測法を用いて捉えることを目的とする。歩行リズムを制御することで治療法が限られていたPD関連疾患でみられるすくみ足、加速歩行、小股歩行などの歩行障害を正常化する革新的な歩行リハビリテーション法の開発を目指す。本研究では、PD患者個人での最適歩行リズムを決定する個別化リハビリテーションを行っている。至適周波数は、前評価の際に最良の歩行状態(On状態)における歩行周波数として決定された数値その周波数を歩行リズム直流刺激に用いる。刺激は歩行の立脚期となる際に健側踵初期設置のタイミングで圧センサからのトリガーにより患者個人の一歩行周期に合わせて-1-+1mAの微弱電流がサイン波形一周期で誘導される(closed loop stimulation)。既にシステム開発は終了し、2019年より特定臨床研究として最適化したclosed loop stimulationを併用した歩行リハビリテーションとシャム刺激を二重盲検で検討している。PD患者は、実刺激もしくは偽刺激を行いながら自然歩行を4分×4セットを行う。歩行リハビリテーションは週2回×5週間、実際の介入を合計10回行っている。現在までに終了した本刺激10例、偽刺激10例での中間解析では、本刺激群で治療後で有意に歩行スピードが上昇しており効果は中間評価では妥当性を示唆しており、今後さらに症例数を増やしていく予定である。
2: おおむね順調に進展している
既に新規ニューロリハビリテーション機器の開発も終了し、特定臨床研究の手続きも終了し、実際に患者のリクルートを開始している。更に、中間解析も終了し、解析結果では本新規リハビリテーションがパーキンソン病関連疾患の歩行状態を改善する結果を得ている。
特定臨床研究としての患者のリクルートをさらに継続していく。中間解析で一定の効果を認めたため、海外研究者との結果に関する討議を行い、海外雑誌への論文化に向けての準備も進めていく予定である。
2月以降のCOVID-19関連での対策で国内出張が困難となったため。
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